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コミュニティバス事業に必要な「覚悟」――りんりんGO、新高島平駅へ延伸

12/13(火)に交通対策調査特別委員会が開催されました。
白眉はやはり、コミュニティバス「りんりんGO」の新高島平延伸についての報告です。
委員会配付資料を見ながら、コミュニティバス事業の今後を一緒に考えてみたいと思います。

 

これまでのりんりんGOの経緯

3年間の実験運行という前提で、平成22年3月に始まったコミュニティバス「りんりんGO」 。
しかし、利用者数が伸びていないことは区議会でも何度も指摘されてきました。
平均乗客数の目標は1便あたり10 人でしたが、平成22年は1便あたり5.4人、平成23年は1便あたり6.3人に留まっています。

その原因が、ニーズの低い運行ルートにあることは大方の見解が一致しているところだと思います。
東武東上線下赤塚駅をスタートし、赤塚公園南の首都高下を回ってそのまま下赤塚駅に戻ってしまいます。下赤塚駅以外のどの駅にも接続していません。

これでは利用者数が伸びないのは当然ということで、 特に都営三田線の駅への接続がずっと要望されてきました。
本来であればこの10月に新高島平に接続予定だったのですが、東日本大震災に伴い、事業者である国際興業バスがリソースを被災地の応援に割く必要が 出てしまったため、新高島平延伸は延期となってしまいました。

それがいよいよ見通しがついた! ということで、理事者である都市整備部も力の入った説明になっていました。

 

こんな検討がされたんです

それでは実際に委員会に提示された資料を見ながら、新ルートの検討がどのように行われたのかを振り返ってみましょう。



新ルートの運行開始予定日は「平成24年4月上旬」とされていますが、目標としては「4/1を目指している」とのことです。
国土交通省への申請がありますので、日付の確定はもう少し先だと思われます。

さて、注目の新ルートです。



新設のバス停として「板橋市場」「新高島平駅」が設けられます。

板橋市場を回るルートとなったのは、「ドライバーの待機・休憩が取れる場所を確保してほしい」という国際興業バスからの要望に応えたためだとのことです。
これまでは1周30分強のルートの中に、下赤塚駅以外にどこにも待機場所がなかったため、ドライバーとしては厳しい状況だったそうです。

委員からの質問には「高島平区民事務所や医師会病院を回るルートは取れなかったのか?」という ものもありました。
これは私も大変同感なのですが、国際興業バスの既存運行ルートとかぶっているため、難色を示されたそうです。
既存バス停である「高島平三丁目」にりんりんGOを通すことも、相当交渉をして飲んでもらった、とのことでした。



新バス停「板橋市場」「新高島平駅」の位置はこのようになります。
「新高島平駅」は、降車メインのバス停と乗車メインのバス停の2つが設けられます。

近隣にお住まいの方からすれば、「なぜこの位置なのか?」という思いもあるかと思います。
降車向けバス停は緑道側になっていて、横断歩道を2回渡らないと駅に行けません。
乗車向けバス停も、せっかく小型のバスなのだから駅のすぐ前に止まってほしいと思うのは自然な感情ですよね。

なぜこうせざるを得なかったのか? ということを説明しているのが次の資料です。
検討された他のルート案、および不採用理由を説明しています。



新ルートを通すためには、関係する様々な組織・団体との交渉が必要です。
今回の新高島平延伸にあたっての主要な交渉相手は、事業者である国際興業バス、道路利用について許可を出す警察、そして新バス停を設ける板橋市場です。

まず警察は、「信号機のない場所での右折は了承できない」 という基本方針とのことです。
新高島平駅のすぐ西の、高島通りから一本北に入った交差点には、信号がありません。
このためここでバスが右折することができず、またバスから降りた乗客が信号のない横断歩道を渡ることになることにも警察が難色を示したため、高島通りで左折するしかない、とのことでした。

 

「針の穴を通す」ようなルート設定

今からルートを変更するのは難しいと知りつつ、この4枚目の資料の緑色のルート「案2」は魅力的だと思ったので、少し食い下がってみました。
乗客は新高島平駅に雨に当たらず入れるし、市場通り沿いのお店にとってもうれしいルートです。

この「案2」ルートは、既存路線とは直接かぶってはいません。しかし、既存路線との「競合圏内」であるという理由で不採用となっています。
「競合圏内」とはなんでしょうか? どれくらいの範囲なのでしょうか? という質問をしたところ、既存路線から500m以内をそう呼ぶのだそうです。

いくらなんでもそれは厳しすぎるのでは? ともう少し食い下がってみましたが、そもそも高島平三丁目を通すことを認めさせるのでも相当苦労した様子が窺えましたので、 適当なところで切り上げました。

理事者の都市整備部は、何度も「針の穴を通すようなルート設定だった」と説明しています。

例えば、他の委員から「なぜ住民説明会を行わなかったのか?」という質問がありました。
これに対しては「住民説明会を行うと様々な意見が出され、 期待もされてしまうが、可能な選択肢は実際にはほとんどない状態だった」という趣旨の答えがありました。

また「新河岸3丁目までルートを延ばすことはできないのか?」という質問もありましたが、「ルートの全長が伸びると1周するのに必要な時間が増え、バスの台数を増やさない限りは便数を減らさざるを得なくなる。現状バスは1台だが、バスを1台増やせば人件費や燃料費も含めて予算がほぼ倍になる。現在の予算ではバスは増やせない」という内容の答えがありました。

実際に車や徒歩で現地をチェックしたりなど、非常に苦労されたお話も伺い、何より実験運行であるという大前提がありますので、今回は仕方がないなと納得しました。
しかし、コミュニティバスを本当の区民の足とし、また板橋区の交通網をあるべき姿に近づけていくためには、もう一段の大胆な検討が必要だと思います。

 

コミュニティバス事業のジレンマ ~ 進めるなら「覚悟」が必要

10/17には、お隣の埼玉県戸田市にコミュニティバスについての視察にも行きましたが、戸田市の取り組みのお話を聞いたときにもやはり、コミュニティバス事業の難しさを痛感しました。

戸田市コミュニティバス「toco」は大きく4系統あり、市民の足として定着しています。
しかし、ここまでやるのには相当の「覚悟」があったと思います。

戸田市からいただいた資料によると、平成22年度の運行経費における料金収入の割合は、4系統合計で26.7%です。利用度の高い系統でも35.1%、利用度の低い系統では11.5%に留まります。
すなわち全体でいうと、戸田市コミュニティバス事業の経費のうちの74.3%は戸田市の持ち出し、つまり一般財源を投入しての事業だということです。

税金を投入して事業を行うと、必ず「民業圧迫」という問題が生じます。
コミュニティバス事業は、民間バス事業者からすればそれほど“おいしい”話ではありません。新たなリソースの投入が必要になる割には利益ののびしろが限られていますし、それによって従来の運行路線の利益が減ってしまってはたまりません。
自治体側としても、できれば100%事業者負担でやってもらえる民間バス路線を大事にしたいと考えます。そのため、「それだったら既存路線を撤退させてください」と言い出されるのは、自治体にとっても困ることなのです。

戸田市では、コミュニティバスの一部が既存バス路線とかぶったため、バス事業者がその路線からの撤退を表明したことがあり、それを防ぐため、市が当該路線の経費の半分を負担することになったという事例が、視察のときに紹介されました。

「なるほど、そこまでして…!」
と、内心深くうなずいたものです。

板橋区内は既存バス路線が複雑に張り巡らされており、抜本的検討がないまま新規のコミュニティバス路線を引いても、どこまで行っても「針の穴を通す作業」を続けなくてはならないでしょう。
既存バス路線の再検討を含めて、板橋区の交通網の「あるべき姿」を打ち出して、その中でコミュニティバスや民間バス路線がどういう位置づけになるか、という順番で検討がされなければならないと考えます。

そして「あるべき姿」は、板橋区の内部に閉じるものでもないと思っています。
今年の交通対策調査特別委員会でも、何度か自治体間連携を示唆しましたが、今年の議論の中心課題ではなかったので話が広がりませんでした。
来年はもっと、板橋区のあるべき交通網についての議論ができるよう、課題設定から提言をしていくよう努力したいと思います。

 

ブログ筆者プロフィール

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中妻 じょうた 板橋区議会議員

板橋区議会議員「IT区議」中妻じょうたです。 長年ITプロフェッショナルとして働いてきた経験を生かし、より多くの区民の声を区政に反映する仕組みづくり、そして人の可能性を伸ばす教育・子育て、また障がい者福祉など社会弱者の対策に力を入れていきます。 仙台出身。東日本大震災被災地支援や原発問題には積極的に関わっていきます。 趣味は中国武術、マラソン、ゲーム、読書など。

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