今年も3.11がやってきました。

「12年」というと、一般の方々にとってはさほど切りがいいわけではない年かもしれませんが、私としてはある種の感慨があります。
東日本大震災の発災が初めて板橋区議会議員選挙に挑戦する直前であり、そして現在、4回目の挑戦を目前にしているからです。

選挙のときはいつもですが、あのときも焦燥感に駆られていました。
ちょうどそのとき私は、ポスター貼りに出かけるため自転車にまたがろうとしていたと思います。
突如、信じがたいような揺れに襲われました。

そのときから、近隣の支援や情報提供、そして故郷・仙台をはじめとする被災地の支援に奔走する日々が始まったわけです。

大まかな概要は、記事「10年前、みんな必死だった」「11年前、みんな必死だった」をご覧いただければと思います。

10年前、みんな必死だった〜震災・復興支援編〜

11年前、みんな必死だった〜福島第一原発事故〜

今回は、まだブログなどに載せてない写真を「蔵出し」し、当時を振り返ってみたいと思います。

被災地の方々が「真っ先に直したもの」とは?

津波がすべてを押し流した被災地。

そんな中で、住民の方々が「真っ先に直したもの」が何か、ご存じでしょうか?

私は岩手県北部を除いたあらゆる東北の被災地に赴きましたが、これはほぼ、どこでも同じでした。

それは「お墓」です。

上の写真は、2011年5月4日、仙台市若林区荒浜の写真です。
ここは墓地だったところで、墓石が倒されて散乱しているのがわかります。
そんな中、せめてもとの気持ちか、菩薩像だけが直されていました。

その後、私は各地を回りましたが、どこに行ってもまず真っ先にお墓を元に戻していました。
生きている人の住居などよりも先に、お墓を直していたのです。

お墓が倒されている状態というものに、人は耐えられないのでしょう。
また、悲しいことながら、新たにお墓に入る人が大勢いたためとも考えられます。

「マッチング」と「ロジスティクス」の恐ろしさ

その後、早稲田大学の西條剛央先生が主宰した「ふんばろう東日本支援プロジェクト」に参加し、「家電支援プロジェクト」の責任者として奔走しました。

これは本当に大変でした。
もう一度やれと言われても不可能です。

「困っている人に」「役に立つものを」「届ける」

言葉にすればこれだけのことですが、これを本当に実行しようとしたとき、何が起こるか。

『量』は『質』を変える。

この恐ろしさを学びました。

一例ですが、被災地に届けるための家電を探し回っていたとき、静岡市の業者さんから連絡がありました。
廃棄予定の冷蔵庫が大量にある。
まだ使えるから、よかったら被災地に持っていってほしい、とのことでした。

ありがたい!
ものを検分するため、2011年6月29日、私は静岡市まで飛びました。

そして、現地で私の目に入ってきた光景。

う…
う〜〜〜〜ん…

ちっちゃい!
ちっちゃいよ!!

おそらく、ホテルか何かで冷蔵庫を入れ替えた際に出てきた、大量の同じタイプの冷蔵庫。
ちっちゃい冷蔵庫が、山積みに…。

被災地のニーズは「食料の冷凍・冷蔵保存ができず、食べられるものが非常に限られている」ということでした。
この冷蔵庫では、ちょっとしたドリンクを入れておくのがせいぜい。
ご連絡をいただいた業者さんの善意には心から感謝していますが、これでは単身世帯でも使いものになりません。

業者さんには、丁重にお断りの連絡を入れました。

しかしこのとき、自分の目でものを確認するため、静岡市まで行ったのは正解だったのです。
もし、時間・手間ひまをケチって「OK!送ってください!」なんて連絡してしまったら、いったいどんなことになったか…。
寒気がしますね。

こちらは2011年7月13日、早稲田大学での写真。
東京都内の複数拠点で家電を集め、それを集約し、石巻市・南三陸町の2ヶ所で配布しようという計画です。

どのタイミングで、どこに集約するのか。
どこで配布するのか。
人が殺到することは容易に想定できます。
混乱がないような配布場所・配布フローを確立できるのか。
住民がほしいと思う家電は当然みんな異なります。
ニーズに合った家電をきちんとお渡しできるのか。
また、本当にお困りの方に届けられるか。
目先の鋭い人がまとめてかっさらっていっては支援になりません。
配布ボランティアをどうやって確保するか。
現地まで行けるボランティアを何十人も確保しなければなりません。

気が遠くなるような作業です。

「マッチング」と「ロジスティクス」の恐ろしさを骨身に染みて感じました。

東日本大震災以後も、西日本豪雨や2019年台風など、大きな災害が起こった際にはできるだけ災害ボランティアに赴くようにしていますが、こうした「現実に即した支援」をどうやって実現するか、毎回考えさせられています。

支援は「支援する側の勝手な押し付け」ではだめなのです。

今の政治はまだまだ「支援される側の立場に立つ」ことが下手すぎます。
災害に限らず、相手の立場に立った支援を迅速に行う政治を実現していく必要がありますね。

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