中妻じょうた

板橋区議会議員 中妻じょうた のオフィシャルホームページです。ブログやSNSを通じて積極的な発信・交流をしております。是非ご意見ください!

板橋区議会議員

ホーム > ブログ > 「侍る政治」の終わり

「侍る政治」の終わり

前回の記事の結びでは、「自分の考えを他人に委ねてはいけない。自分で考えて行動しなければ、取り返しのつかない結果をもたらす」と申し上げました。

 

 

1024px-Kuniyoshi_Utagawa,_The_Chushingura

 

歌川国芳「忠臣蔵十一段目夜討之図」です。パブリックドメインの画像をWikipediaより転載しました。

 

「侍」
と書けば、大半の日本人は「サムライ」と読むでしょう。
サムライと言えば外国人にも通じる、単に日本の軍人を表すのみならず、文化や倫理、価値観に至るまで、広範なイメージをもたらす言葉です。
多くの日本人は「サムライ」という言葉を、誇りとともに口にするでしょう。

 

しかし、多くの外国人はその語源を知らないでしょう。
「侍」という言葉は、貴人に仕える「さぶらう」という言葉から来ています。
そして「侍」に送り仮名「る」を当てれば「はべる」という言葉になり、「侍」という字の元来の意味がより理解しやすくなります。

 

「侍」という言葉には、主君に忠誠を誓い、主君のためならあらゆることに耐え、己の命を賭けてでも主君に尽くす、そのようにすることが美徳であるという価値観が含まれています。
ここで問題になるのは、「その主君が正しいかどうか」はどうでもいい、ということです。
むしろ、主君が間違っていようとも忠義を尽くすのが美徳である、という価値観すら含んでいます。

 

「忠臣蔵」は、外国人からすれば理解不能な物語でしょう。
浅野内匠頭が短気を起こして吉良上野介に斬りつけたのですから、それまでの経緯はどうあれ、今風に言えば「殺人未遂」に問われるのはどうしたって浅野内匠頭のほうです。
ところが、赤穂浪士四十七士が吉良上野介を討ち取ると、江戸の人々は赤穂浪士を「英雄」として絶賛します。
なんでも、討ち入りの翌月には、もうこの事件が舞台の題材として取り上げられたそうです。

 

「大義に殉ずる」という概念であれば、外国人でも理解できるでしょう。
しかし、明らかに大義のない主君の行動にも忠義を示すという価値観は、ほとんどの外国人には理解できないものなのではないかと感じられます。

 

帝国軍人と安倍首相の“侍り”

 

文化人類学者ルース・ベネディクトは1944年6月、太平洋戦争の趨勢が見えてきて米国が「出口戦略」を検討する時期になったとき、日本研究の仕事を委嘱されました。
極力被害少なく戦争を終わらせ、効果的に占領政策を推進するために、西洋とはまったく異質な価値観を持つ日本人という民族を研究し理解する必要が、米国にあったためです。
その研究成果の集大成が有名な「菊と刀」ですが、ここでも日本人の「侍る」姿勢が語られています。

 

『西欧の兵士たちと日本の兵士たちとの間の最も顕著な違いは、たしかに、俘虜として連合軍に協力した点であった。(中略)彼らは名誉を失ったものであり、彼らの日本人としての生命は終わったのである。(中略)あるものは殺してくれと頼んだ。「けれども、もしあなたがたの習慣がそれを許さないというのならば、私は模範的な俘虜になりましょう」と言うのであった。これらの連中は模範的な俘虜以上のものであった。長年、軍隊のめしを食い、長い間、極端な国家主義者であった彼らは、弾薬集積所の位置を教え、日本軍の兵力配備を綿密に説明し、わが軍の宣伝文を書き、わが軍の爆撃機に同乗して軍事目標に誘導した。それはあたかも、新しい頁をめくるかのようであった。新しい頁に書いてあることと、古い頁に書いてあることとは正反対であったが、彼らはここに書いてあることを、同じ忠実さで実践した。』

 

現在参議院で審議されている安保法案。
この法案の問題点は数々ありますが、その中の最大のもののひとつは、安倍首相が4/29に米連邦議会で演説し、「安保法案をこの夏までに必ず成立させる」と約束してきたことです。
日本の戦後政策の大転換となり、違憲の疑いも濃い法案の成立を、日本の国会で何の議論もされないうちから、他国の議会で、期限というおまけまでつけて約束してくるという、独立国家のトップリーダーとしては異常な行動です。

 

しかし、もし安倍首相の価値観が「侍る」ことにあるのであれば、安倍首相の行動に説明がつきます。
いま「侍る」べき主君が、アメリカになっているということです。

 

安倍首相が語ってきた「戦後レジームの脱却」「日本を取り戻す」といったフレーズが対米追従とどう結びつくのか、私などには理解しがたかったのですが、もしかすると「侍る政治を取り戻す」という意味で言っているのかもしれません。

 

安倍首相としては自らが正しいことをしているとお思いかもしれませんが、アメリカ人が「忠臣蔵」を理解できないのと同様、安倍首相の言動は、アメリカからは不気味なほど意味不明に見えているのではないでしょうか。
もちろんアメリカの負担が減る話ですから表面上は歓迎されるでしょうが、長期的に見て、真の信頼関係が築ける姿勢といえるかは疑問です。

 

「侍る」相手が完全無欠の神ならばともかく、相手は間違いを犯す可能性のある人間です。
「人間は必ず間違う」という前提のもと、政治は自らの責任を負わなければなりません。
明らかにアメリカが誤りを犯したイラク戦争についてまで盲従するような政治をやっていては、安保法案を運用する段になったとき、さらなる悲劇に巻き込まれる可能性があります。

 

さらに「侍る政治」は、国民にも「侍る」ことを要求します。
お前たちの主君は自分なのだから、お前たちは自分に侍るのが当然だ、というわけですね。
封建時代の階級制度そのものの価値観です。
武藤貴也議員が、若者のデモを自己中心的だと非難したり基本的人権を否定したりで批判を浴びていますが、このような発言は「侍る政治」の価値観から来ているのだとも考えられます。

 

どのような価値観に基いて、政治を行うのか。
選ぶのは、有権者の皆様です。

 

しかし、先の戦争で300万人の国民の命が奪われたという事実は、何をどう言いくるめても、戦前戦中の政治が日本史上最大の失敗を犯したことの証左にほかなりません。
そして今また、安倍首相の「アメリカに侍る政治」によって、安保法案が成立させられようとしています。

 

本当に、鵜呑みにしてよいのでしょうか?

 

もはや「玉音放送」はありません。
私たちは、自分の頭で、自分の価値観で考える政治をやらなければならないのです。

 

そのためには、民主党もまだまだやらなければならないことがありますね。

ブログ筆者プロフィール

ブログ筆者プロフィール

中妻 じょうた 板橋区議会議員

板橋区議会議員「IT区議」中妻じょうたです。 長年ITプロフェッショナルとして働いてきた経験を生かし、より多くの区民の声を区政に反映する仕組みづくり、そして人の可能性を伸ばす教育・子育て、また障がい者福祉など社会弱者の対策に力を入れていきます。 仙台出身。東日本大震災被災地支援や原発問題には積極的に関わっていきます。 趣味は中国武術、マラソン、ゲーム、読書など。

板橋区議会議員

お問い合わせはこちら