昨日は金曜日にて、私のTwitterスペース「金曜はご意見伺い」を開催し、近況をご報告しました。
そこでお話ししたことは、前回のブログに関連し、性的マイノリティのパートナーシップ宣誓制度の広がりを受け、トラブルが増加する前に同性婚法制化を進めるべきであること、しかしてそれが進まない背景に「旧統一教会」の影響力が存在する可能性があることなどで、非常に重要な内容だったのですが、うっかり録音をし忘れてしまいましたTT
そこで、本記事にて、今一度ご説明しておきたいと思います。
同性婚法制化は「デメリットゼロ案件」
自治体による「パートナーシップ宣誓制度」については、札幌市をはじめとした全国200の自治体で既に制度が導入されており、東京都でも今年11月には「東京都パートナーシップ宣誓制度」がスタートしますが、法的根拠のないパートナーシップ宣誓制度が自治体によって広がっていくことで、転居に伴うパートナーシップ移転や、離別・親権・相続などで民事トラブルが増加することが考えられるため、私としては早期に同性間の婚姻などを認める性的マイノリティのための法制化を進める必要がある、と考えています。
同性婚の法制化については、有名な演説があります。
2013年、ニュージーランド議会にてモーリス・ウィリアムソン議員(当時)が行った、ユーモラスな中に愛情が溢れた演説です。
何度見てもすばらしい演説ですね。
私も、こんな演説ができるようになりたいものです^^
「この法案は、愛し合う2人の人が結婚できるようにする。それだけです」
「この法案は、関係する人にとってはすばらしいもの。そうでない人にとっては何も変わらないものです」
まさしくその通りで、同性婚法制化は、政治の世界では非常にレアな「デメリットゼロ案件」であり、私の中では「既定路線」であって、LGBT権利擁護などで先頭に立っている立憲民主党の国会議員の皆様にがんばってもらって早く法制化してほしい、くらいに考えていました。
私自身ががんばるつもりは、あまりなかったのです^^;
が。
先日、私の元に届いた「ある号外」を読んで、これは少なくとも見解を述べておく必要がある…と考えました。
私の元に、毎月「世界日報」関係雑誌が勝手に届けられていた
実は、ずいぶん前から私の元に「勝手に」届けられていた雑誌がありました。
「Viewpoint」という雑誌です。
内容はまあ表紙の通り…ということで、今までほとんど読みもせずに捨てていたのですが。
今回ふと、表紙にちゃんと目を通しましたら。
世界日報やないか
現在話題席巻中の「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)」創始者である文鮮明が創刊に関わり、旧統一教会との関連が深いと言われる新聞社です。
念のため、ここで明確に述べておきますが、私・中妻じょうたは旧統一教会とは一切、何らの関係も持っておりません。
金銭や労働力を含む一切の支援をいただいたことはありませんし、私から旧統一教会に金銭支払いを含む何らの便宜供与を行ったこともありません。
ただし、上記雑誌「Viewpoint」が勝手に送りつけられてきていた、ということは続いていました。
住所を公開している以上、避けようがありません。
今後、万一世界日報社が費用請求などを行ってきたとしても、一方的に送りつけられてきた商品への支払いは不要です。トラブルの際には「消費者ホットライン」に相談したいと思います。
そして、今号には「号外」が同封されていました。
「LGBT問題」特集、「冷静に考えよう!パートナーシップ」と題して、全国自治体に広がり11月から東京都でも始まる「パートナーシップ宣誓制度」に警鐘を鳴らす内容でした。
『Sunday世界日報号外「LGBT問題」特集』の内容
「パートナーシップ宣誓制度」(パートナーシップ)導入の波が首都にも到達−−。
Sunday世界日報号外「LGBT問題」特集
東京都の小池百合子知事は、6月の都議会定例会に、LGBT(性的少数者)カップルを「公認」するパートナーシップ導入に向けた人権尊重条例の改正案を提案し、可決されれば11月に運用を開始する予定だ。200の地方自治体が既に導入し、都道府県では茨城、群馬両県、大阪府などに続き8例目となる。
都民の7割近くが制度を「必要」(都の調査)と答えているが、日本の総人口50%を網羅する制度の利用者は現在、約3000組だけ。導入の際、各自治体は「性的少数者の人権擁護の歴史的一歩」と謳うが、制度拡大を「同性婚」の法制化に繋げるのがLGBT運動の狙い。制度の導入は日本に何をもたらすのか。立ち止まって冷静に考えるべきだ。
本紙は4面で構成されており、概要を示す1面に続いて、以下のような構成となっています。
- 2面: 困りごと、制度では解決せず 当事者の多くは「宣誓しない」
- 3面: 「同性婚」の法制化に道を開く 行政の「公認」は性の乱れ煽る
- 4面: 性革命で狙われる子供たち 絵本や教科書で浸透 過激な性教育で「社会変革者」育てる
まず「当事者はパートナーシップ宣誓制度を利用していない」という主張についてですが、「なぜ利用しないのか」という理由をもっと掘り下げなくてはなりません。
単に周知の問題かもしれませんし、私が指摘する通り、法的根拠がないパートナーシップでは効果が少ないためかもしれません。
そして何より、この世界日報の態度に見える通り、性的マイノリティは厳しい偏見と差別にさらされており、パートナーシップ制度で自分の性的指向が明らかになってしまうことを恐れている、ということも十分考えられるでしょう。
今でも多くの性的マイノリティが、自分の性的指向を知りつつ、周囲の目を恐れてカミングアウトできずにひた隠しにしているという現実もあると思います。
そして「パートナーシップ宣誓制度は同性婚の法制化に道を開く」との主張ですが、これは話が逆で、モーリス・ウィリアムソン元議員が言う通り、本来は同性婚法制化を速やかに実施すべきところを、自民党などの抵抗によって国会での議論が遅々として進まないため、せめて各自治体でできることをと努力した結果が、200超の自治体によるパートナーシップ宣誓制度導入ではないでしょうか。
「性革命で狙われる子供たち」というのもひどいタイトルですが、そもそも、こうした主張をする方々は「LGBTとは特殊な性癖であり、倒錯的なセックスを目的とするものである」という根本的な誤解があるのではないかと思います。
これは札幌市が配布しているパンフレット「LGBTってなんだろう?」です。
ご存じですか? 性のあり方はグラデーション
性のあり方には、3つの要素があります。
身体の性−−生まれながらの生物的な違いを指し、からだつきや性遺伝子などの性別です。
心の性(性自認)−−自分が感じている性別のことで、性自認ともいいます。
好きになる性(性的指向)−−恋愛対象となる性別のことで、性的指向ともいいます。
※心の性と好きになる性は、自分の意思や治療で変えられるものではありません。
これら3つの要素は、「男」と「女」の2つだけではなく、明確に分けられるものではないことから、性は色と色の間に境界がないグラデーションに例えられます。
札幌市「LGBTってなんだろう?」
こうした性的マイノリティのあり方を理解しようとせず、性的マイノリティの存在に対する根源的な偏見があるため、すべてが色眼鏡になり、「子どもたちに性の多様性について伝えよう」とする努力が「過激な性教育で子供たちを狙っている」と歪められてしまいます。
(余談ですが、世界日報は決して「子ども」と書かず「子供」と書くことも注目しておきたい)
信者を食い物にする「カルト」によって政策が歪められている?
こうした主張は、言ってみればひとつの偏見であり、国会や各自治体議会における議論の中で解消していく努力も必要でしょう。
しかし、日本における性的マイノリティのための法制化が進まない原因が「旧統一教会」−−かつて霊感商法や合同結婚式などによる人権侵害が問題視され、今なお巨額の献金を信者から吸い上げていると言われ、安倍晋三元首相銃撃の動機であると容疑者が説明している−−による「政界侵食」にあるのだとしたら、これは由々しき事態です。
旧統一教会がいかに自民党をはじめとする政治家に侵食していたかが、連日報道されています。
無償で働く秘書を派遣したり、党員ノルマ達成のために統一教会の協力を得たり、選挙時の票割りを行ったり…。
自民党の福田達夫総務会長は、自民党議員と旧統一教会の関係について「正直に言う。何が問題かよくわからない」と述べ、物議を醸しました。
自民・福田氏、旧統一教会と党の関係否定 「何が問題か分からない」
例えば、安倍晋三元首相が旧統一教会と関係があり、旧統一教会の票の割り振りを仕切っていたといった事実があるならば、それは「安倍晋三元首相と旧統一教会のとの個人的な関係」などとは到底言えないでしょう。
このように、信者を食い物にするカルトと付き合ってきた政治家が、そうしたカルトの教義・主張を反映するべく意見表明をしているのであれば、そこに「議論・相互理解・すり合わせ」の余地はまったくなく、これでは性的マイノリティの苦しみが解決される日は来ない、と言わなくてはならないかもしれません。
民主主義は、有権者による自由な議論と相互理解が前提になっています。
特定の団体、しかも信者を食い物にしてきた「カルト」の影響によって政治が動かされているのであれば、性的マイノリティの問題のみならず、日本の政治において合理的な判断が期待できない、ということにもなりかねません。
各党・各政治家が自浄作用を発揮することを期待するとともに、ここはぜひ、心ある有権者の皆様の「厳しい目」をお願いしたいと思います。