昨日3/10、板橋区議会予算委員会 文教児童分科会が開かれました。
令和8年度予算案の文教児童分野について、丸一日徹底議論する真剣勝負の場です。
私は、イエナプランモデル校の選定・給食の質と量の確保・天津わかしお学校の給食完全無償化という3つのテーマを中心に質疑を行いました。
目次
(1)イエナプランモデル校の選定について
🔷 イエナプランとは
イエナプラン教育は、1920年代にドイツの教育学者ペーター・ペーターセンがイエナ大学附属学校で始めた教育実践をルーツとし、オランダで独自の発展を遂げた教育思想・メソッドです。
その特徴は次の4点にまとめられます。
- 異年齢学級(ファミリーグループ):3学年程度を混合したグループで学ぶ。異なる年齢の子どもが「教え合い」「学び合う」文化を育む。
- 4つのコアアクティビティ:「対話」「遊び」「仕事(学習)」「催し(行事)」を学びの基本サイクルとする。
- 子どもの自律と主体性:一人ひとりの興味・ペースを尊重した個別化学習を重視。
- コミュニティとしての学校:学校を地域や保護者と共に作り上げる「共同体」として捉える。
オランダでは現在約200校ほどがイエナプラン認定校として認定を受けており(オランダ・イエナプラン協会による)、日本でも何校かがイエナプラン認定校として認定されています。
🔷 質問の要旨と区の答弁
板橋区は「MIRAI SCHOOLいたばし 多様な学び推進プラン2028」の中で、「イエナプラン教育の要素を取り入れたモデル校の選定・研究」を目標として掲げています。私は以下の点を質問しました。
①モデル校で「具体的に何をやるか」を先に明らかにすべきでは?
「モデル校を選定する」という目標を掲げている以上、どのようなカリキュラムや学級編成を実施するのかを先に示さなければ、選定は形式的なものになってしまいます。区として、モデル校で実施する内容の具体像を持っているのかを問いました。
②異年齢学級をやるのか?
イエナプラン認定校の最低条件は「異年齢学級の実施」です。板橋区のモデル校では異年齢学級を実施するつもりがあるのかを確認しました。
→ いずれも明瞭な答弁は得られませんでした。
③小規模校をまずモデル校に指定してはどうか
異年齢学級をはじめとするイエナプランの実践は、大規模校ではハードルが高く、小規模校のほうが機動的に動けます。新河岸小学校や高島第五小学校のような小規模校を最初のモデル校に指定し、大胆にイエナプランの実現をめざすべきだと提案しました。
子どもたちに「学ぶことが楽しい」「自分のペースで学んでいい」という経験をさせることが、長期的な不登校対策にもなります。モデル校の具体化を引き続き求めていきます。
(2)給食の質・量について
🔷 食材価格高騰の現状
近年の物価上昇は、学校給食の食材費にも直撃しています。下のグラフは、板橋区立小中学校の給食に使われる主要5食材(白米・牛乳・豚肉・キャベツ・卵)の価格推移を示したものです(2020年=100の指数)。

特に深刻なのは白米です。2020年比で2025年試算では約207%という驚くべき上昇率です。
原因は気候変動・生産コスト高騰・集荷競争など多岐に渡りますが、2025年は豊作だったにもかかわらず価格高騰が続いており、継続的な価格上昇を織り込んだ給食予算を考える必要があります。
🔷 給食無償化経費の推移
食材費の上昇を受けて、板橋区の学校給食無償化のための予算も年々増加しています。
| 小学校費 | 令和6年度比 | 中学校費 | 令和6年度比 | 合計 | 令和6年度比 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 1,043,232 | 100% | 488,966 | 100% | 1,532,198 | 100% |
| 令和7年度 | 1,113,913 | 107% | 518,483 | 106% | 1,632,396 | 107% |
| 令和8年度 | 1,472,866 | 141% | 758,771 | 155% | 2,231,637 | 146% |
(金額単位は千円)
令和8年度の予算額は令和6年度比で46%増、金額にして約7億円増となっています。中学校費に至っては55%増という大幅な伸びです。
🔷 給食の質・量を落とさないで
私は区に対し、食材費高騰の中でも給食の質・量を維持するよう強く求めました。その理由は2つあります。
第一に、低所得世帯の子どもへの影響です。家庭の経済状況が厳しい子どもにとって、学校給食は1日の中で最も栄養バランスのとれた食事である場合があります。給食の量が減ったり質が落ちたりすることは、そういう子どもたちに直接打撃となります。
第二に、不登校対策としての側面です。「給食が楽しみだから学校に行く」という子は少なくありません。美味しくて楽しい給食は、登校意欲を支える重要な要素のひとつです。給食の魅力を守ることの意義は多岐にわたるということです。
(3)天津わかしお学校の「給食完全無償化」を!
🔷 天津わかしお学校とは
天津わかしお学校は、千葉県鴨川市天津に所在する板橋区立の特別支援学校です。ぜん息・肥満・虚弱・偏食などの課題のある児童生徒を対象とした全寮制の学校で、子どもたちは年間を通じて学校の寮で生活しながら学んでいます。数々の表彰を受けている、板橋区の特色ある学校です。
🔷 「昼食だけ無償化」の矛盾
今回の分科会で、賄収入に関する質疑の中で明らかになったのは、天津わかしお学校の給食無償化が昼食のみに限定されているという事実です。朝食および夕食については、保護者から費用を徴収しています。
これはおかしい。
全寮制の学校であるにもかかわらず、「昼食だけ無償化」というのは、他の区立学校(通学制)の給食無償化措置に横並びで合わせただけの措置ではないでしょうか。
しかし天津わかしお学校の子どもたちは、学校に「住んでいる」のです。朝・昼・夜の3食すべてが学校生活の一部であり、給食無償化の趣旨——食育・保護者負担軽減・子どもの健全育成——は3食すべてに当てはまるはずです。
私は朝食・夕食も含めた完全無償化を求めました。区側からは「考える」という答弁を引き出しました。前向きな検討を強く期待します。
まとめ
分厚い予算書から、いかにして生活のリアリティに迫る質疑を行うか。
これが予算審査における議員の腕の見せ所です。
イエナプランにしても、給食にしても、天津わかしお学校にしても、大切なのは子どもたちがいきいきと学び続けられる環境をどうやって作っていくか、です。
食材価格が高騰しても、財源が厳しくなっても、子どもたちの給食の質と量を守り、すべての子どもたちが安心して学べる環境をつくること——それが板橋区の責任だと思います。引き続き訴えていきます。