板橋区議会は第3回定例会中。
いろいろな議論をしているのですが、今日は「農地がヤバイ」という話を書いてみます。
日本の食料自給率がヤバイことはよくご存知かと思います。
他先進国と比べてもヤバイです。
しかも、日本で生産している食料も、9割以上輸入肥料に頼っています。
日本の農業政策がいかに「食料安全保障」の観点からお粗末だったか、明らかです。
上図は2023/3/31現在の、東京23区内の農地面積です。
23区内で「農地」をまだ有するのは11区。
このうち、農業委員会を有する区は北区を除く10区です。
その中で、板橋区の農地面積は下から4番目です。
パーセンテージが示しているのは「生産緑地指定率」です。
登記上「農地」となっていても、実際には既に宅地になっているケースも多いのですが、「生産緑地」に指定されていれば、一定きちんと農地として耕作されているはずだと推察できます。
板橋区は、これが70.4%。
つまり、登記上の「農地」のうち3割は、もう農地とは言えない状態である可能性がある、ということです。
生産緑地の経年変化はどうでしょうか。
板橋区の農地はちょっと少なくてグラフ化に向かないので、23区中随一の農地面積を誇るお隣、練馬区の生産緑地面積推移を見てみます。
豊かな農地を持つ練馬区であっても、この30年間で農地が約32%減少しているわけです。
昨年度の板橋区における農地転用の状況です。
「4条」とは農地法4条、農家が自己所有のまま農地から宅地に転用したケース。
「5条」とは農地法5条、所有者が変わる場合。つまり農家が不動産業者等に売却して宅地にするケースです。
板橋区では、昨年度はこれが計57件。
約40000㎡、およそ200m四方の農地が失われたと言えるわけです。
ただでさえ少ない板橋区の農地ですから、かなり厳しいと言えます。
(ただ、これは必ずしも生産緑地が減ったとは限りません。 既に実質宅地であったケースも多いので、農地転用がされたからといって、必ずしも「田畑が失われた」わけではありません)
農地が減る理由は、売却・転用の他に「相続」があります。
例えば、ある農家に子どもが3人いて、親の資産を相続するとします。
資産を平等に分配しようということで、親の農地を3分割したらどうなるか。
農地としての生産性も3分の1になってしまうわけです。
そして、それが元に戻る可能性はほぼありません。
農地を守るためには、税・不動産・相続の知識が必要です。
幸い板橋区には、意欲に満ちた次世代の農業従事者もまだまだいます。
意欲ある農家に力を発揮してもらうためには、政治の力が不可欠です。
板橋区に農業を残していくため、私も農業委員として力を尽くしたいと思います。