先ほど、私自身のスマートフォンに特殊詐欺の電話がかかってきました。
恥を忍んで、その一部始終をここに公開します。
議員という立場上、少しでも手口を探ろうと考えてしまい、うっかり家族・親族の名前を口にしてしまいました。
これは大失敗です。
同じ思いをする方を一人でも減らすため、経緯と反省、そして今の特殊詐欺の最新手口・対策をまとめます。


経緯——「広島中央郵便局」から始まった電話

  • 「広島中央郵便局」を名乗る人物から電話がありました(実際には国際電話でした)。
  • 「あなたが差出人になっている不審なレターパックが届いている」とのこと。
  • 「中には通帳・キャッシュカード・スマートフォンなどが入っていることをX線で確認した」と言います。
  • 宛先は広島県内で、私にはまったく覚えのない人物でした。
  • 覚えがないと伝えると、「警察に被害届を出してほしいので、警察に転送する」と言われました。
  • 転送先に出たのは、「広島県警捜査二課の高田誠」を名乗る人物でした。
  • 状況を話すと、「Zoomで事情聴取を行う」と提案されました。
  • Zoomに出ると、警察の制服を着た「高田誠」が登場し、一瞬だけ警察手帳のようなものを見せてきました。

  • その後、先方は映像を切り、音声だけで”事情聴取”を続けました。
  • 「途中で他の人物と話をしたり電波が入ったりすると事情聴取が成立しなくなるので、部屋に誰も入れず、携帯電話の電源も切ってほしい」と要求されました。
    私が「機内モードでよいか」と聞くと、「それでもよい」との返答でした。
  • 「あなたの個人情報がどこから漏れたのかを調べるため」という名目で、私の経歴(区議会議員という現職だけでなく、前職まで)を聞かれました。
  • 続けて家族構成——同居中の家族に加え、両親・兄弟の氏名——まで聞かれ、私は答えてしまいました。
    これは明確な失敗です。答えるべきではありませんでした。
  • ここで私が「高田誠という刑事が実在するか、広島県警に直接確認したい」と伝えると、相手は「いいですよ」と答え、そのままZoomを切ってしまいました。
  • 実際に広島県警に電話したところ、「警察がZoomで事情聴取や取り調べを行うことは絶対にない。詐欺電話だ」と明確に否定されました。

「手口を探ろう」としたことが仇になった

最近、特殊詐欺の被害が急増しており、高島平七丁目町会でも特殊詐欺の電話がかかってきた(すぐ切ったため被害はなかった)という話を聞いています。
こうしたこともあり、私は議員という仕事柄、少しでも詐欺の手口を把握しておきたいという気持ちがありました。
そのため、明らかに怪しいと感じながらも会話を続けてしまい、結果として家族の氏名という個人情報を口にしてしまいました。
これは職業的な関心が判断を鈍らせた、典型的な失敗パターンだと思います。

犯罪グループはさまざまな名簿を突き合わせる「名寄せ」によって、私の家族構成とその他の個人情報を突き合わせることができるおそれがあります。
私が口にした家族の名前が、今後、家族への特殊詐欺電話に使われる可能性はゼロではありません。
この点は大きな反省点です。

その後、私は高島平警察署に赴いて情報提供と生活相談を行い、注意すべき点もお伺いしてきました。

「警察官のビデオ通話」は、今まさに急増している最新手口

今回の私のケースのように、 ビデオ通話で警察官や検察官になりすます手口は、2026年の今、全国で急増しています

  • 最初の電話は、私の場合のような郵便局であったり、宅配便の会社や、銀行・金融機関を名乗ることが多い。そこから「あなたが犯罪に利用されている」と話し、警察に転送すると言って次の電話に変わる。
  • パソコンやスマートフォンのビデオ通話で、制服姿や警察手帳のようなものを見せて信用させる。
  • 「あなたの口座(またはスマートフォン)が犯罪に利用されている」「資産を保護する必要がある」などと不安をあおる。
  • 発信者番号を実在する警察署の代表番号に偽装する「スプーフィング」という手口も横行しており、着信画面だけでは真偽を判断できないことも。
  • 話が進むと、検察官が登場してくることも多い。
  • 部屋に鍵をかけるように言ったり、携帯の電源を切るように言ったりして、途中で誰かに相談させないようにする。

そして、警察がはっきりと説明していることがあります。

  • 郵便局・宅配会社・銀行等から警察に直接電話を転送することは絶対にない。
  • 警察官や検察官が、個人のスマートフォンに突然ビデオ通話をかけたり、Zoomで事情聴取や取り調べを行うことは絶対にない。

たとえビデオ通話で身分証のようなものを提示されても、絶対に信用してはいけません。

実際に話してみて、随所に出てくる専門用語など、非常に説得力がありました。
ひと目見て「怪しい」と見抜けるとは限りません。

数字で見る深刻さ

  • 全国の特殊詐欺は、令和8年(2026年)3月末時点で認知件数11,093件・被害額937.9億円。前年同期比で件数2,576件増、被害額413.9億円増と、過去最悪ペースで悪化しています。
  • 令和7年(2025年)通年では、認知件数2万7,758件、被害額は約1,414億円と、前年からほぼ倍増しました。
  • 身近な板橋区でも、昨年(2025年)の特殊詐欺被害は172件、被害総額は約8億8,336万円にのぼります。

「自分は大丈夫」「うちの家族は大丈夫」と思っていても、これだけの規模で、しかも増加を続けている犯罪です。
どなたにとっても、決して他人事ではありません。

これだけは徹底してほしい3つの鉄則

私自身の失敗も踏まえ、特に強調したい対策です。

  1. 警察・検察が個人にビデオ通話をかけたりZoomで聴取をしたりすることは絶対にない。 制服や身分証を見せられても、それ自体が演出だと考えてください。
  2. 少しでも怪しいと思ったら、会話を続けずにガチャ切りしてよい。 「失礼にならないように」といった気遣いは不要です。
  3. 家族構成・氏名・資産状況などの個人情報は、電話やビデオ通話で絶対に話さない。 「本人確認のため」という理由付けであっても同じです。

加えて、次の点も基本として押さえておいてください。

  • 見覚えのない国際電話(+から始まる番号など)には、そもそも出ない・出てもすぐ切る。
  • 電話番号が実在の警察署と一致していても、番号は偽装できるため信用の根拠にならない。
  • 一人で判断せず、家族や周囲に「今こんな電話が来た」とすぐ共有する。

「デジポリス」のインストールと海外着信拒否申し込みを

特殊詐欺被害を事前に防止するための手として、海外からの着信を停止する方法があります。

特殊詐欺の電話の7〜8割は、海外からかかってきます。
もし海外との通話が不要であれば、海外からの着信を拒否すれば、特殊詐欺に遭う可能性は大きく下がります。

警視庁が提供するアプリ「デジポリス」をインストールすると、警察が把握した犯行利用電話番号や国際電話番号の不審電話をブロックできます。
また、地域の犯罪発生状況や防犯情報もゲットできます。

・防犯アプリ デジポリス
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/tokushu/furikome/digipolice.html

また固定電話についても、「国際電話不取扱受付センター」に申し込むと、どの電話会社であっても海外からの電話の着信を拒否できます。

・国際電話不取扱受付センター
https://www.kokusai-teishi.com/

もし不審な電話がかかってきたら

  • その場で判断せず、一度電話を切る。
  • 警察相談専用電話 「#9110」 に相談する(緊急時は110番)。
  • 消費者ホットライン 「188(いやや!)」 も利用できます。
  • 家族・周囲に高齢の方がいる場合は、「こういう電話が来たら、まず切って家族に相談してね」と、日頃から声をかけておいてください。

おわりに

議員という仕事柄、手口を知っておきたいという気持ちがあったわけですが、怪しいと分かっていながら会話を続け、結果として家族・親族の名前を口にしてしまったことは大失敗でした。
正直、恥ずべきことです。
それでも、同じ手口で家族を巻き込む被害が一件でも減るなら、公開する意味があると考えました。

くれぐれも、ご用心ください。


出典・参考リンク

  • 最新記事
TOP
目次