発表されている「新規感染者数」は氷山の一角か

「濃厚接触者なら、PCR検査を受けなくてもよい」

一昨日、知人から驚くような話を聞きました。

その方は、家族に新型コロナ感染者が出た方でした。
同一住居に暮らしているので、その方も自動的に「濃厚接触者」扱いになります。

その方に、保健所から連絡が来て

「濃厚接触者なら、PCR検査を受けなくてもよい」

と指導された、とのことでした。

濃厚接触者に対し、PCR検査が行われていないとするならば、現在国や東京都が発表し、ニュース等で報道されている「新規感染者数」の中にカウントされていない「潜在的感染者」がかなりの数いるのではないかと推測されます。

感染拡大防止の観点からは、検査しなくても隔離すれば問題ない、と言えるかもしれません。
確かに、現在デルタ株の感染が急拡大する中、保健所としては検査よりも入院調整などを優先せざるを得ないといった事情があるかもしれません。

しかし、問題なのは、総理大臣や東京都知事などの意思決定者が政策判断をするのに、これだけではないにせよ「新規感染者数」は重要な指標であり続けている、ということです。

意思決定者に、事態の本当の深刻さが伝わっていない可能性があります。

その結果、オリンピック・パラリンピックの開催是非や、緊急事態宣言の適用やその内容についての判断が正しくできていない可能性を指摘せざるを得ません。

「PCR検査抑制論」の深刻な害悪

PCR検査の実施数には世界各国で著しい差があることは知られています。
圧倒的検査量を誇る国がある一方で、日本のPCR検査実施数が非常に低いことは、この間ずっと問題視されてきました。

「PCR検査は偽陽性・偽陰性が生じうるから、役に立たない」と主張する「PCR検査抑制論」が日本のPCR検査数の少なさに影響していると見られますが、PCR検査の結果が確率的であるからこそ、「量」によって結果の質を担保しなければならないはずです。

最初の緊急事態宣言が発出されたのが2020年3月。
もう一年半近くが経過していますが、この間、PCR検査を自動化・加速化するソリューションがいろいろ開発されています。

これは、昨年10月のニュースです。

川崎重工が80分で検査結果を出せる自動PCR検査ロボットを開発。
西村大臣も視察しています。

他にもドライブスルー検査など、PCR検査を加速化できる手法は様々あります。
検査数が多い国では、こうした手法の採用と法整備を同時に進め、多数の検査に対応できるようになっています。

日本では 「できることをやらなかった」 結果、今や新規感染者数を正しく把握できていないのではないかという事態にまで陥っています。

現場の声を聞かずして、良質なデータは作れない

菅義偉首相は「デジタル庁」創設など、政府のデジタル化を進めようとしていますが、デジタル化の大前提は「良質なデータ」が確保できているということです。

AIやデータベースなどの質を決めるのは、結局のところ「良質なデータ」です。
そして、良質なデータは、良質なデータを作ろうという「人の意思」と「人手」がないと作れないのです。

現場の声をきちんと聞き、現場の応援をしていかなければ、良質なデータは作れません。

良質なデータに基づき正しい意思決定をしようとするマインドがなければ、つまるところ良質なデータは手に入らず、意思決定は場当たり的に漂流することになります。

「五輪開催ありき」のトップの意思が、まともなデータさえ取れない事態を招いているのではないかと、強く危惧しています。

新型コロナ対策を立て直すなら、十分な数のPCR検査ができる体制を確立し、正しいデータに基づき政策方針を立てるという当たり前の方向に、あまりにも今更ですが、舵を切るしかありません。
菅義偉首相にこういうことをする考えがないのであれば、それはもう「新型コロナ対策ができない総理大臣」とみなさざるを得ず、方法は「政権交代」しかない、と言わざるを得ないと思います。

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