8/24の健康福祉委員会におけるもう一つの注目ポイントは、報告事項「いのち支える地域づくり担当係長の設置について」です。

コロナ禍における自殺者の増加

新型コロナウイルスの流行に伴う様々な困難により、自殺者が増加傾向にあると言われています。
特に、女性の自殺の増加が深刻な社会問題になっています。

8/24の委員会に先立ち、私は所管事項調査として板橋区の自殺の現状と今後の対応についての質疑を行う旨を申し出ていました。
それにより、区は自殺者数の現状や今後の対応についての資料を提出しました。

新型コロナウイルス流行前の2019年と、流行中である2020年の自殺者数がこちらです。

わかりやすくするため、差分をグラフ化しました。

20代男性、80歳以上男性、60代・70代・80歳以上女性の自殺増加が顕著であることがわかります。
総合すると、やはり女性の自殺が増えていると言えそうです。

「新型コロナ対策と自殺対策が同じ部署」という問題

新型コロナウイルス感染が始まって以来、感染症担当部門である保健所の「予防対策課」は多忙を極めていますが、実は自殺対策を担当しているのも同じ「予防対策課」です。

予防対策課が自殺対策を担当しているのは精神衛生保健を担当しているためですが、自殺対策にメンタルヘルスは必須であるものの、それだけで自殺が防止できるわけではありません。

自殺を本当に防ぐためには、自殺を考えるようになるに至った「根本原因」を解決しなければならないのです。

例えば板橋区自殺対策地域協議会の議事録を読むと、こんな発言もあります。

令和元年度 第2回板橋区自殺対策地域協議会

板橋区の自殺者の多い集団の特徴、借金の問題からうつを発症し自殺すると記載されている。もちろん経済面以外にも複合的な問題が絡まり自殺に至ると思うが、法律専門職の立場からは借金の問題が一番の要因で自殺に至る、これほど悲しいことはない。借金は法律の手続きを使い解決できるため、「借金で悩んでいます」 と相談された場合はほぼ解決できる。

借金が原因の場合は、弁護士か司法書士に相談すればほぼ解決できる、ということです。

他にも、生活困窮であれば生活保護や自立支援、経営問題であれば経営相談、子どもであれば教育委員会や子ども家庭支援センター、病気で悩み自殺する方も多いのでそういう場合は医師、DVであれば男女平等推進センターといったように、悩みの種類や悩んでいる人によって、解決法を持っている主体は千差万別です。

行政で自殺対策を担うためには、個別具体的に問題解決を図るための「コーディネーション力」が必須なのです。
そのため、政府では内閣府が自殺対策を担っています。

ところが、現在板橋区では、コロナ対策で多忙を極める予防対策課がそれを兼務しているわけです。

これでは自殺対策が進まないとして、私の所属会派・民主クラブ幹事長の高沢一基議員は長らく「自殺対策専門部署の設置を」と訴え続けており、私も何度も角度を変えて質問してきました。

「いのち支える地域づくり担当係長」設置

民主クラブとして力を入れてきた主張なのですが、今般、予防対策課内に、自殺対策を担当する「いのち支える地域づくり担当係長」が設置され、自殺対策専門部署設置に向けて一歩を踏み出しました。

8/24の委員会では「課長を置かなくては十分ではないのではないか」と質問したところ、「新型コロナ感染拡大によってストップしてしまっている『板橋区いのちを支える地域づくり計画2022』をまず再度開始したい。そのためにまず担当係長を置いた。組織改正には時間がかかるため、もう少し検討したい」といった趣旨の答弁がありました。

予防対策課の業務逼迫は簡単に解消しないため、自殺対策専門課長の設置の有効性は、言外に理解されているのではないかと思っています。
「自殺対策専門課長」設置に向けて、引き続き提言を続けます!

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