今年も3.11がやってきました。
11年前のこの日。
想像を絶する大災害でしたが、11年後の3月11日、また私たちは想像を絶する事態の中にいます。
3.11当日や、その後取り組んだ復興支援については、昨年書いた記事をご覧いただければ幸いです。
今回は、東日本大震災が突きつけた最重要課題、「原発」を振り返ってみたいと思います。
原発安全神話の崩壊
2011年3月11日、14:46に東日本大震災が発生。
その約50分後、福島第一原子力発電所を高さ十数mという津波が襲い、福島第一原発は「全電源喪失」に至りました。
原子力発電所は原子炉や使用済み核燃料を常に冷却し続けなければならず、そのための外部電源を常時必要とします。
外部からの電力供給が失われれば、核燃料の冷却ができなくなり、核燃料が溶け出して「メルトダウン」「メルトスルー」に陥ります。
それまで政府は「全電源喪失やメルトダウンはあり得ない」と説明し続けてきましたが、その「あり得ないこと」が起こり、原子炉建屋が水素爆発し放射性物質が飛散するという事態に至りました。
それにより、福島第一原発を中心とする広範囲の地域で「警戒区域」などが設定され、10万人以上の住民が避難を余儀なくされました。
「あり得ないことなど、ない」
この事故の痛恨の教訓です。
2012.7.17 福島県楢葉町、Jヴィレッジ
事故から1年4ヶ月後、原発問題を考える有志の自治体議員ネットワークの一員として、福島県楢葉町および原発事故処理拠点となった「Jヴィレッジ」を視察しました。
警戒区域の手前まで行きました。
飛散する放射性物質を避けるためマスクをしています。
11年後の今日、まさかまったく違う理由で、マスクを常時することになっているとは…。
なんという時代を生きているのか、と改めて思わされます。
Jヴィレッジは日本の誇るサッカーのナショナルトレーニングセンターですが、福島第一原発事故から概ね2013年まで、福島第一原発事故対応拠点として使用されていました。
このときまで、防護マスクなどはまったく見たことがなかったものです…。
2013.8.5 Jヴィレッジ
翌年、今度は板橋区議会の会派視察として、今一度Jヴィレッジをはじめとする福島各地を訪れました。
元来サッカーのピッチであった駐車場を、鎮痛な面持ちで見渡すおなだか勝区議(当時)。
最高のコンディションを維持していた芝生が見るも無残な土塊と化すのは、辛いものです。
白い建物が、作業車の清掃場所です。
事故処理に当たった車両は、ここで毎回洗浄しなければなりません。
それでも車両を使い続けると線量が下がらなくなってきて、いずれ廃車とせざるを得なくなる、とのこと。
原発事故処理の大変さの一端が感じ取れます。
事故処理に当たっている東京電力の職員の皆様から説明を受けている様子です。
最前線で懸命の収束作業に当たってきた皆様には、心よりの敬意と感謝を述べさせていただきました。
ただ、現在も続いている放射能汚染水の処理の問題については、このときも私から質問しています。
ALPS(多核種除去設備)は、本当に機能するのか?と。
2021年4月、政府は処理済み汚染水を海洋放出する方針を決定しました。
IAEAは「問題ない」としていますが、本当に問題がないのかどうかは、年月が経たないとわかりません。
2013.8.6 南相馬市
その翌日、会派視察団は避難対象地域であった南相馬市を訪れました。
地元の竹野光雄・南相馬市議に詳細にご案内をいただきました。
写真は、除染作業で生じた放射能を含むゴミの一時置き場。
放射性ゴミを入れる黒い袋「フレコンバッグ」も、このような事故がなければ見ることがなかったもののひとつです。
ウクライナ侵攻で、原発の危機ふたたび
福島第一原発事故により、世界は原発の危険性を認識したものと思われました。
しかしそれから11年後。
まさか、原発に意図的に武力攻撃を仕掛ける者が現れようとは…!
ザポリージャ原発でデータ送信停止 チェルノブイリに続き IAEA(NHK)
電力喪失のチェルノブイリ原発、全通信が途絶 IAEA(CNN)
テロリストによる攻撃は懸念されてましたが、まさかロシアという大国、国連安保理常任理事国が原発を攻撃するとは、想像を絶する事態です。
IAEAによると、ザポリージャ原発およびチェルノブイリ原発は「ただちに危険はない」とのことです。
しかし上記ニュースによると、いずれも通信が断絶しており、非常に心配されます。
原発を管理する現場の職員も心配です。
食事や休憩は大丈夫なのでしょうか。
きちんと交代要員を確保し、24時間365日の管理体制がなくては、危険な状態に陥る可能性もあります。
11年目の3.11。
プーチン大統領には、福島第一原発で何が起こったかを、ぜひもう一度思い出していただきたい。
武力攻撃によるメルトダウンなどが起こったら、あなたは歴史の中に二度と消せない汚名を残すことになるのだと。