3/22、予算委員会総括質問に登壇しました。
令和4年度予算審議を文字通り総括する、非常に重要な質疑です。
質問通告は、以下の通りでした。

  1. 激動の時代を生きるための板橋区政を
    1. 区の財政について
    2. 住み続けられる板橋区のために
  2. 平和宣言都市・国際交流都市いたばし
  3. 国内一次産業に力強さを
  4. 教育・子育てについて
    1. 子ども家庭総合支援センターについて
    2. ソフト・ハードの一層の整備を
  5. まちづくりについて
    1. 高島平まちづくりについて
    2. ユニバーサルデザインの推進を
  6. 区施設に配備されている「さすまた」について

何回かに分けて、解説をいたします。

今回は「1.激動の時代を生きるための板橋区政を」について解説します。

なぜ税収が伸びているか。既にインフレだからではないのか

コロナ禍も3年目に突入し、区内でも多くの事業者が廃業するなど、地域経済への悪影響が懸念されるところですが、令和4年度予算案を見ると、区税収入や東京都からの財政調整交付金が上昇しています。

これは何を意味するのか。

「景気は緩やかな回復基調にある」と無邪気に考えていいのでしょうか。

私は、これは既に「インフレ傾向」に陥っているのではないかと懸念しています。

マンションなどの不動産価格が上昇し、アメリカではFRBが利上げを実施し、原油などの輸入品価格上昇によりガソリン価格が高止まりしていることがあらゆる物価に影響を与え、4月から多数の生活必需品が値上げになっています。

ロシアによるウクライナ侵攻が、食料品やエネルギーの価格上昇にさらに拍車をかけています。

「景気は緩やかな回復基調にある」などと、安穏と楽観視している場合ではないのでは?
この点について、区の見解を問いました。

区としても「物価上昇による区政運営全体への影響を注視する」との答弁でした。

Q:
 コロナ禍において、これは各委員既に指摘しているところですが、令和2年コロナ禍に突入して、予算ベースで歳入が一旦減少したんですけれども、令和4年に至りまして、歳入が上昇している。区税収入や都の財政調整交付金が増加をしていて、それが過去最高の特別区交付金、それから区税収入という形になっているというところでございます。
  こういう状況の中でどのようにお金を使っていくのかということが大変重要になってくると思うんですが、その原因について、区の当初予算のプレス発表の6ページのほうでは、景気の緩やかな回復傾向から増収を見込んでいます。または1人当たりの所得額の増により増収を見込んでいますといったようなことで、これまでも語られてきているんですけれども、果たしてここで語られているような景気の回復とか、あるいは区民生活の向上というのが本当にあるんだろうかなというところは大変心配しております。地域の周辺、私が地元でいろいろ伝え聞く話によると、そんなに景気が劇的によくなったというような印象はあまり私個人としては得られてないところなんですけれども、では、なぜこのように都の交付金や区税収入が上がっていっているのか。私は、これは既にインフレに突入しているということなんではないかというふうに推測するんです。市中では特に不動産価格が非常に上昇している。マンションの価格などはかつてない値段になっている。あるいはアメリカではFRBが利上げを検討している。食料品など生活必需品の値段が上がっている。ガソリンの値段が上がっているといった形で、インフレ傾向に既に突入してきているんではないかと私は懸念しているんですけれども、この点について、区としてはどのような見解をお持ちでしょうか。

A(政策経営部長):
  米国の本年1月の消費者物価指数の上昇率につきましては、ガソリンの値上げなどによりまして、前年同月比7.5%の上昇で、約40年ぶりの高水準で推移しています。その一方で欧州におきましては、ロシアによるウクライナ侵攻の影響によりまして、予想外のエネルギー高騰による物価上昇に歯止めがかかっておらず、インフレへの危機感が高まっている状況にあると報道されております。我が国におきましても、昨年半ばまでは消費者物価上昇率がマイナスとなっておりましたが、コロナ禍とウクライナ危機で状況は一変し、原油を含む原材料の価格高騰によりまして、想定外の物価高が見込まれ、インフレの懸念が強まる状況にあると考えております。区としましても、区民生活を含め、物価上昇による区政運営全体への影響を注視してまいりたいと考えております。

財政調整基金や補正予算を活用し、賃上げなどの積極財政を

地域経済は楽観視できる状態になく、区民の生活を支えるための政策を積極的に実施する必要があると私は考えていますが、板橋区の普通預金ともいえる「財政調整基金」からの一般会計予算への繰入額が減少しています。

区の財政方針では、財政調整基金は270億円をめざして積み立てを行うとされていますが、現状は積立額を増やすべきときなのか。
積極財政を維持すべきときではないのか、と私は考えています。

一例として、区と契約する会計年度任用職員の一部が最低賃金ギリギリで雇用されている点を指摘し、インフレが懸念されるなら賃上げが必要になると主張。
こうしたお金の使い方をしていくべきではないかと質問しました。

区としても「区民の安心・安全を基本とし、補正予算の編成も含めまして、積極的な財政運営に努める」との答弁が得られました。

Q:
  財政調整基金の積み立て方についてお伺いしていきたいと思うんですが、区の財政運営指針の改定についてというところが2月の財政課が発表した資料にございまして、これまで財政調整基金の積立て方針、具体的な数字が入っていたんですけれども、例えば一般財源に対する財政調整基金繰出金の比率5.9%という、この5.9%という数字がなくなっている。
  つまり、状況において機動的に財政調整基金を使ったり、あるいは余裕があるときにはきちっと積み立てるといったことを機動的に行っていくものと思うんですけれども、現状の認識をお伺いしたいんです。財政調整基金は今リーマンショック時の90億円の毎年の繰出しということを勘案して、3年分270億円を積み立てるものというふうに何度もご答弁ありますけれども、では、現在は270億円を目指して積み立てていくタイミングなのかどうかということなんです。今は使うべきときなのか、それとも貯金していくべきときなのかということについて、私は今は使っていくべきときなのではないかということを申し上げていきたいわけです。
  例えばいろいろなお金の使い方あると思いますけれども、やはりインフレが懸念されるんであれば、必要なことは賃上げだと思います。現業労働組合板橋の出しているニュースによりますと、公募の職にない一級1号格付の会計年度任用職員1,050円単価は、来年度は最低賃金を上回ることは必至です。10月に最低賃金の改定が行われると、1,050円を超えることは明らかだろうと現在言われているんです。私が前から申し上げているんですけれども、板橋区のために仕事をしてくださっていて、多くは板橋区民の方々を最低賃金ぎりぎりで雇用するというのはやめましょうよと。恥ずかしいことではないでしょうか。少し余裕を持ってお給料を出したらいいんじゃないか。例えばこういったような使い道でインフレ時代の取組みをしていただきたいと思うんですけれども、この激動の時代において、もう少し積極財政、今言ったような一例ですけれども、こういったお金の使い方をもう少し投入していくべきではないかと考えるんですが、認識を伺います。

A(政策経営部長):
  財政調整基金でございますけれども、委員がおっしゃいましたとおり、今回財政運営指針で具体的な額等を規定することではなくて、基金及び起債活用方針において規定してございます。この方針におきまして、景気後退期の備えとしまして、必要積立額270億円を目途に積立てを行っているところであります。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、区民の安心・安全のため、令和2年度及び令和3年度には財政調整基金の活用などにより、18回の補正予算を編成し、機動的な対応を行ってまいりました。また令和4年度当初予算におきましても、コロナ克服のための事業展開のため、重点的な予算配分を行ったところでございます。いまだコロナ禍の収束が見通せない中、物価上昇などの社会経済情勢の変化もありまして、区民生活に大きな影響も想定されるため、今後とも区民の安心・安全を基本とし、補正予算の編成も含めまして、積極的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

次回は、「住み続けられる板橋区」のための住宅政策についてです。

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