令和8年第2回定例会の一般質問において、中妻じょうたは「MIRAI SCHOOLいたばし」から「イエナプランを取り入れた教育」という文言が突然削除された問題を取り上げ、教育長・区長の双方に説明を求めました。

MIRAI SCHOOLいたばしとは

「MIRAI SCHOOLいたばし」は、板橋区の今後10年の教育の方向を定める10年計画(教育ビジョン2035)の実行計画(アクションプラン2028)です。骨子案・素案・原案と3度にわたり議会で審議され、パブリックコメントも経て策定された、非常に重要な計画です。

その柱のひとつとして掲げられていたのが、「イエナプランを取り入れた教育」でした。イエナプランとは、オランダで生まれた教育手法で、子どもが主体的に学び、異学年が共に学ぶ環境づくりを重視する考え方です。長沼豊教育長ご自身がイエナプラン認定校の元校長として実践され、深い知見をお持ちであることから、板橋区の教育の旗印として多くの期待が寄せられていました。

何が起きたのか

ところが2026年3月24日、予算可決日の当日になって、議会への正規の説明もなく、「イエナプランを取り入れた教育」が「子どもを真ん中に据えた教育」という表現へと突然置き換えられました。

4月16日の文教児童委員会では、教育委員会事務局次長が「前例のない、あってはならないこと」「事務局としても応分の責任は生じている」と異例の発言をしており、手続き上の問題が庁内でも認識されていることが明らかになりました。

中妻じょうたの質問と答弁の要旨

1. 削除の経緯(長沼教育長への質問)

中妻の質問: 疑義の具体的な内容は何か。教育長自身の判断を動かした決定的な論点は何か。

長沼教育長の答弁: 第6回検討委員会の進捗報告の際、学識経験者の一部から「公教育における計画において特定の考えを記載するのはいかがか」との疑義が呈された。当初はこれを受けて修正を指示しなかったが、自ら逡巡する契機となった。最終的な変更指示は令和8年3月中旬に出した。

2. なぜ3月10日の予算委員会分科会で説明しなかったのか

中妻の質問: 3月10日の文教児童分科会ではイエナプランを前提に審議が進んだ。見直し検討中であることをなぜその場で説明しなかったのか。

長沼教育長の答弁: 最終的な変更指示は3月中旬であったため、3月10日の分科会の時点では「見直しを検討中」の状況ではなく、説明できる状況になかった。事後報告にはなったが、できる限り丁寧に対応した認識。

3. 合議制を経ていないのではないか

中妻の質問: 教育委員4名による合議を経ていないのではないか。教育委員会制度の趣旨に照らして妥当か。

長沼教育長の答弁: 1月21日の教育委員会で計画は既に決定済み。今回の変更は「普遍的な表現への言い換え」にとどまるため個別説明とした。4名全員が理解を示し、改めて合議が必要との意見はなかった。

4. 中身が変わらないなら、なぜ異例の手続きが必要だったのか

中妻の質問: 「中身は変わらない」というなら、なぜこれほどの異例手続きをとってまで文言を変えたのか。

長沼教育長の答弁: 「イエナプラン教育」という言葉だけが一人歩きし、区が一律に特定の考えを導入しようとしていると誤解されることへの懸念から、誰でも分かりやすく誤解の生まれにくい表現に置き換えた。

5. 教育長が実現したい教育の到達点は何か

中妻の質問: イエナプラン認定校の元校長として、板橋区で具体的に何を実現したいのか。本音を聞かせてほしい。

長沼教育長の答弁: 「教育は人が幸せに生きるためにある」という考えを最も大切にしている。知識・技能だけでなく、学びや成長・人とのつながりによる喜びが一人ひとりの幸せにつながると確信している。「MIRAI SCHOOLいたばし」の理念のもと、学びを通じて成長と幸せを実感できるまちづくりに力を尽くす。

6. 区長部局の認識と再発防止策(坂本区長への質問)

中妻の質問: 区長部局は令和7年末から3月24日の間にこの動きを把握していたか。把握していたなら議会への説明を促したか。本件の意思決定プロセスを「問題」と認識するか、しないか、曖昧でなく答えてほしい。

坂本区長の答弁: 令和8年3月中旬以降に教育委員会から報告を受けた。議会や住民への丁寧な説明を行う必要がある旨を教育委員会に伝え、認識を共有した。

「議会との信頼関係の観点から課題があった」と受け止めている。意思決定プロセスや情報共有の在り方について、今後の教訓とすべき点があると考えている。

中妻の質問: 今後同じことが起きないためにどのような取組をするか。

坂本区長の答弁: 計画策定のルールを一層徹底するとともに、議会との十分な情報共有を図りながら計画策定を進める。

中妻じょうたの見解

今回の件は、2つの深刻な問題をはらんでいます。

第一に、意思決定プロセスの問題です。 議会で3度審議し、パブリックコメントも経た計画が、最終段階で1人の判断によって覆る——この前例を放置すれば、今後あらゆる計画で同じことが起こり得ます。区長が「議会との信頼関係の観点から課題があった」と認めたことは一定評価しますが、問題をはっきりと「あってはならないこと」と位置づけた事務局次長の認識と比べると、区長答弁は依然として曖昧です。再発防止策も「ルールを徹底する」の一言にとどまっており、具体性が求められます。

第二に、板橋区の教育の方向性の問題です。 「イエナプラン」という旗印が消えたことで、現場の推進力が落ちることを懸念しています。「子どもを真ん中に据えた教育」という表現は美しいですが、具体的に何を、どのような手法で実現するのかが見えにくくなりました。モデル校選定・研究という3年間の取組は継続されるとのことですが、その取組を支える明確なビジョンの提示を引き続き求めていきます。

住民の皆様には、本件の経緯を広くお知らせし、板橋区の教育行政に対する関心を持ち続けていただくよう呼びかけます。ご意見・ご感想がありましたら、ぜひ中妻じょうたまでお寄せください。

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