3/22に登壇した予算委員会総括質問の解説、最終回です。

今回は「区施設に配備されている『さすまた』について」です。

本物のナイフ暴漢が現れたとき、本当に「さすまた」で取り押さえられる?

板橋区の公共施設、学校や福祉事務所などに配備されている「さすまた」ですが、これ本当に役に立つんでしょうか?
本気で人を刺すつもりで暴れるナイフ暴漢を、これで取り押さえることはできるんでしょうか?

否。役に立ちません。

と私は常々危機感を持ってましたので、昨年11月にYouTube動画を制作し、安易にさすまたに頼る危険性を訴えました。

詳しくは動画をご覧いただければと思いますが、現代のさすまたの問題点は2点あります。

  • 真ん中のU字部分に突っ込んでいくことに、何もリスクがない
  • 相手側がU字部分を掴みやすく、こちらのほうが梃子の原理によるコントロールを効かせやすい

実際に、板橋区の隣の埼玉県戸田市にナイフ暴漢が現れ、それを取り押さえるまでの一部始終がニュース映像で流れました。

取り囲んだ4、5人の警官のうち1人がさすまたを持っていたのですが、このさすまたが真っ先にナイフ暴漢に狙われ、U字部分をあっさりとくぐられて、ヒヤリとする光景となりました。

幸いにして4、5人で取り囲んでいたので無事取り押さえることができましたが、もしさすまたと一対一だったら、危険な状況になったのではないかと思われます。

さすまたを置いてある学校や福祉事務所などの施設で、本当にリアリティある訓練が行われているのだろうか、という点について、今回質問を行いました。

犯人役が「やられることになっていて」、最終的には「やられたー」と言ってシャンシャンで訓練を終わらせていたら、本物のナイフ暴漢が現れたときに命の危険にさらされることになります。
このあたりは、防災訓練と同じです。

危機管理部の答弁としては「さすまたのみで不審者等を制圧することは難しいところもあり、技術も要する。不審者等対策を必要とする施設等の要望に応じて、警察の協力を得ながらさすまたの使用法を含めた防犯に関する複合訓練を実施している」とのことです。

「さすまただけに頼らない訓練」を実施しているということですね。

現実的に効果がある訓練を行なっていただきたいものです。

○中妻じょうた
  最後になります。区施設に配備されているさすまたについてという項目でございますが、こちらちょっとご覧いただきたいんですけれども、これは私が制作しましたユーチューブ動画です。アップしておりますので、さすまたで検索していただくと結構上位のほうにきます。1,500回ぐらい再生されていて、割と見られているので、今日ちょっと時間かないので細かくは説明できないので、ぜひ後ほどご覧いただきたいと思いますが、さすまたは特に刃物を持っている相手には役に立たないということを説明している動画になります。かい摘んで申し上げますと、どういう問題があるかというと、まず真ん中のU字型のところに入っていくことに何も問題がないということです。昔のさすまたはU字の部分にとげがついているんです。とげがついているから前に突き出すと、それがお腹なんかに刺さってしまう。だから武器として使えるということなんですが、今この真ん中に入っていくことに何もリスクがないので、前へ出ればいいという話になっちゃう。どんどん前に出ていってしまえば、防ぐことが非常に難しいというのが現在のさすまたの問題点の1つ。
  もう一つの問題点は、U字型の部分のほうがてこが効いていて持ちやすくて、こちらのほうを犯人側がここを持ってしまったら、こっちでコントロールができてしまうということが問題です。これ実際に隣の戸田市で刃物暴漢が発生しまして、その一部始終の動画がニュースでも報道されたんですけれども、警察官5人ぐらいで取り囲んだ。そしてそのうちの1人がさすまたを持っていた。そうするとナイフ暴漢はまず真っ先にさすまたを狙うんです。そしてあっさりくぐられてピンチに陥ってしまった。これ四、五人で取り込んでいたからまだ何とかなりましたけれども、さすまた持っていた人と1対1だったらかなり危険な状態になったんではないかというふうに推測されます。
  ちなみにですけれども、さすまたに押さえ込まれたときの対応法というのも、これ私のオリジナルなんですが、開発いたしまして、押し込まれたときに、壁に押し込まれた。いわゆるたすきがけで押し込んでも同じなんですが、くるっと回ることができる。回って両手、片足でどんと壁を蹴ってやると、あっさりはずれてしまう。さらに寝転がった状態、さすがにもう完全に抑え込んだと思うような状況でも、同じように、くるっと回って両手と足で立ち上がろうとすれば、簡単に立ち上がれてしまうんです。これでぜひさすまたに抑え込まれたときでも大丈夫ですので、それぞれ試していただければと思うんですけれども、要はほぼ役に立たないと思っていただいたほうがいいということなんですよ。こういう状況を本当に分かった上で、それぞれの学校ですとか、あるいは福祉事務所ですとかにさすまた配備されているのか。訓練は一体どういうふうにやっているのかということ、本当に役立つ訓練がされているのか、防災訓練なんかと同じで、その場でしゃんしゃんで終わるような訓練をやっていると、いざナイフ暴漢が現れたときに大変なことになりますので、本当に役立つ使用法の周知や訓練が行われているかという点を伺います。

○教育委員会事務局次長
  区立学校・園におきましては、危機管理マニュアルを作成して、それに基づいて不審者対応を含めた避難訓練を実施しているところでございます。文部科学省の学校の危機管理マニュアル等の評価・見直しガイドラインでは、不審者対応の留意事項としては、相手との距離を保つこと、児童・生徒などに近づけず、警察の到着を待つことなどが示されております。
  学校では、さすまたの使用を含めた不審者対応訓練は、毎年警察と協力して、警察官が不審者役を演じるなど実際の対応に近い形を想定して、危機意識を持って実施しているところでございます。

○危機管理部長
  さすまたは学校侵入事件が相次ぎました平成14年度以降、安全に不審者、侵入者の動きを封じ込める防犯器具として、学校施設ほか児童福祉施設等にも護身用具として導入されてまいりました。さすまたの利点と欠点があるのは承知しておりますが、大切な命を守るため、学校施設等の安全対策には欠かせない防犯ツールであると認識しております。さすまたのみで不審者等を制圧することは難しいところもあり、技術も要するところでございますことから、不審者等対策を必要とする施設等の要望に応じて、警察の協力を得ながらさすまたの使用法を含めた防犯に関する複合訓練を実施しているところでございます。

○中妻じょうた
  ぜひリアリティーのある訓練を行っていただきたいと、最後にお願いを申し上げまして、私の総括質問を終わります。どうもありがとうございました。

全7回、3.22総括質問の解説を記事にしましたが、いかがでしたでしょうか?

今後とも住民の皆様からのご意見やご質問を反映した議会活動を行なってまいります。
ご意見等ございましたら、こちらからなんでもお寄せください!

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