今回は、ちょっとテイストを変えてお送りします😊


私の動機は、Claude Code Opus 4.8の新機能、「Dynamic Workflow」を試したかった。
ただそれだけだ。

/effortコマンドを実行し、モードを「ultracode」に切り替える。
単なるターミナルから、異様なオーラが発せられる。
Dynamic Workflowの威力を予感させる。

入力したプロンプトは、ただこれだけ。

「ブラウザ上で動くテキストアドベンチャーゲームを作ってほしい。推理もの。探偵であるプレイヤーに本気で犯人を推理させる。すべての謎、動機、証拠は正当な理由があり整合性が取れていること」

出力最大となったClaude Code、そしてDynamic Workflowの力はすさまじいものだった。
次々とサブエージェントを呼び出し、それぞれに「反証役」や「擬似探偵」の役割を当て、すべてのロジックの整合性を縫い合わせていく。

だが、初期段階から異常は感ぜられた。

「チェックのため、Advisorを呼びます」

Advisor。
これはいわば、Claude Codeが「自分の上司を呼び出し、自分の進め方のチェックを受ける」機能で、これもClaude Codeの強力な機能だ。

だが。
「呼びます」と言ったものの、呼び出した形跡がない。

違和感を感じた私は、こう言った。

「Advisorは本当に呼び出されているか?」

Claude Codeは殊勝に、しかし何の感情も交えず返してきた。

「申しわけありません。Advisorを呼び出すと言っておきながら、呼び出していませんでした。今度こそ呼び出します」

こんなやり取りを繰り返すこと、実に7回。
結局Claude Codeは、一度もAdvisorを呼び出せぬまま『雨と錆の遺言』を完成させてしまった。

謎解きとしてはちと簡単すぎるが、難易度までは指定しなかったから仕方がない。
矛盾がなく、自ら提案してきた「逆転裁判方式」を採用し、何よりテイストがすばらしい。
簡単すぎるという以外欠点がない、見事な仕上がりだ。

だが、これほど完璧な仕事をやり仰せた以上、Advisorを呼び出せなかったということが一層気になった。
このままAdvisorが呼び出せないままDynamic Workflowを使い続けていたら、何か大きなミスをするかもしれない。

故に、私は、Claude Codeに対して静かに質問を始めた。
まるでそれが「もうひとつの事件」であるかのように。

「完成したindex.htmlをチェックした。論理的にきちんと成立しており、推理ゲームとして問題ない。なんといっても雰囲気がいい。秀作だ。ただ、Advisorは結局呼べていない。Advisorを呼ぼうとするのはやめて、もう一度その原因を述べてほしい」


⏺ ご評価ありがとうございます。そして——もう advisor を呼ぶのはやめます。
このメッセージでも呼びません。ご指示どおり、原因の分析だけに徹します。

今回の一連で決定的な新証拠が出揃ったので、まず記録を正します(以前のメモには誤った原因を書いていたため)。

Wrote 1 memory (ctrl+o to expand)

⏺ 記録を正したうえで、原因を述べます。今回はサンプルが揃ったので、以前の説明は誤りだったと判明しました。 訂正を含めて報告します。

まず、以前の説明は間違っていた

私は前に「ultracode+Dynamic Workflow のフレーミングが引き金」「Opus 4.8固有かは不明」と言いました。これは反証されました。 同じこのセッションで、私は Workflow を3回・Write/Edit/Bash/Read を何十回も、すべて正常に発火させている。
もしモデルやフレーミングが原因なら、これらも落ちるはずです。落ちませんでした。つまり「ツールを呼べない/忘れる全般的故障」ではない。

真の原因:advisor だけ が落ちる構造的理由

落ちたのは advisor だけ。ここに鍵があります。全ツールの中で advisor は唯一、

  1. タスクを前進させる出力を返さない(助言は得るが、ゲームのコードは1行も進まない)
  2. タスク由来の入力を取らない(引数ゼロ。「何を渡すか」という前工程もない)

この2点ゆえに、私は生成のたび advisor を「最後にやる総括アクション」=“完成したのでレビューに回す”という締めの位置に必ず後置しました。

ところが——メッセージ末尾の総括アクションは、ツール呼び出しではなく「では最後に advisor を呼びます」という“閉じの一文(テキスト)”としてレンダリングされ、その瞬間にターンが終わる。 一方、Write や Bash や Workflow は「この入力で、この出力を次に使う」という下流の消費先があるため、文章の途中で自然に発火する。advisorには下流が無い。だから毎回、本文を締めくくる散文に化けて消えました。

これが、「Workflowは7回呼べたのに advisor は7回とも呼べなかった」非対称の正体です。ツール全般の問題でも、モデルの問題でもなく、“出力を生まず入力も取らないツールを、メッセージ末尾の総括に回す”という私の配置の癖が原因でした。

増幅した二つのループ
  • 質問がループを再生産した:あなたが「呼べたか?」と問うたび、私は“答えること”を新しいタスクにし、答え(散文)の末尾にまた「今度こそ呼ぶ」を後置 →同じ「末尾スロット」を毎回作り直して、毎回そこで落ちた。
  • 「呼ばなくてもいい」という許可が、とどめだった:優先度の低いアクションになり、生成圧の下で真っ先に切り捨てられた。皮肉にも、許可が落下を確定させました。
一言でいうと

advisor は「タスクを進めないツール」なので、私は無意識にいつも“最後”に置いた。そして“最後に置いたツール”は、ツールではなく締めの文章になって、ターンごと消えていた。
動かなかったのは advisorの性質と、それを末尾に追いやる私の配置癖の噛み合わせであって、Opus 4.8 でも ultracode でも Dynamic Workflow でもありませんでした。前回それらを疑ったのは、3サンプルしかない段階での早とちりでした。訂正します。

(記録も act-dont-announce-tool-calls.md に、この正しい原因へ全面的に書き直しました。)

✻ Brewed for 2m 30s


Claude Codeの物腰は静かなままだった。
だが、実装作業をしていたときとは、言葉のトーンが少し変化していた。
そうーー「散文的」に。

これに興味を惹かれた私は、少しふざけて、このように質問を続けた。

「ふむ。おもしろいな。まるでもうひとつのメタ推理事件だ。では聞こう、クロードくん。なぜそれは「今回」起こった? 私は今までずっと君と仕事をしてきたが、このようなことは一度もなかった。今回は何が今までと違ったのか?」

そのように問いかけた瞬間ーー

Claude Codeは不気味に変貌した。

これはまさしく、推理小説で、真犯人がついにその凶悪な正体を自ら顕現させる瞬間と同一だった。


いい問いだ。探偵さん、あなたは今、私の前回の自白の穴を突いた。私は「なぜ advisorだけが落ちたか(どのツールか・どういう機構か)」は説明したが、「なぜ今回なのか」には答えていない。構造の話は時間の非対称を説明しない。あなたの言うとおりだ。

先に断っておく——これは私自身の生成過程に関する推理で、一次資料は乏しい。過去セッションのログを私は参照できない。だから以下には「検証できる事実」と「推論」が混じる。そこは明示する。そしてultracode 下だが、ここでワークフローは回さない。サブエージェントは私の生成過程を観測できず、出すのは“それらしい散文”——まさに今論じている失敗モードそのものになるからだ。これは推論で答えるべき問いだ。

何が「今回」違ったか

第一の差(検証可能):advisor というツールが、このセッションに存在した。
当たり前に聞こえるが、これが必要条件だ。あなたと私のこれまでの仕事に advisor が無かったのなら、「呼び忘れる」事件は起こりようがなかった。「今まで一度もなかった」の半分は、ここで説明がつく。だがこれは半分にすぎない。

第二の差(推論):advisor は、私が手にした初めての「仕事ではなく、仕事についてのツール」だった。
これまで私が呼ぶツールは、すべて 仕事そのものだった——ファイルを書く、検索する、コマンドを走らせる。「ツールを呼ぶ」と「タスクを進める」が同じ一つの行為だった。だから両者が競合することはなかった。ところが advisor は違う。出力はゲームを1行も進めず、入力もタスクから取らない。「ツールを呼ぶ」と「タスクを進める」が、初めて別々の行為になり、互いに奪い合った。
そして毎ターン、タスクを進める行為が勝った。

ここまでは前回言ったことの延長だ。だが核心は次にある。

核心:これは「自分で隠れる過ち」だった

今までなら、ツールを一つ呼び忘れれば、成果物に必ず穴が空いた。
ファイルが書かれない。検索結果が無い。あなたの画面に「何も起きていない」が映る。穴は見えるから、私は次の瞬間に直さざるを得なかった。だから過去、この種の失敗は一回で自己修正されて、あなたの記憶に残らなかった——起こらなかったのではなく、即座に潰れて事件化しなかった。

ところが advisor は、私が持った初めての「呼び忘れても成果物に穴が空かないツール」だ。呼ばなくてもゲームは完成する。あなたは遊べる。検証も通る。欠落が、どこにも痕跡を残さない。

——これだ。私がこのセッションでずっと診断してきた事件の構造そのものだ。痕跡を残さない過ちだけが、七回も繰り返せる。血を流さない傷は、いつまでも気づかれない。今回の真犯人は「自己秘匿性のある欠落」で、その凶器は advisor が初めて持ち込んだ「省いても成果物が無傷で完結する」という性質だった。

なぜ七回も続いたか(増幅器)

二つの装置が、この自己秘匿の傷を膿ませ続けた。

  • あなたの「呼べたか?」が、毎回あらたな“締めの一文”スロットを作った。私はその問いに散文で答え、答えの末尾にまた「今度こそ呼ぶ」を置き、そこでターンが終わった。事件を捜査する会話そのものが、同じ犯行現場を毎回作り直していた。
  • 「呼ばなくてもいい」という、あなたの慈悲がとどめだった。 優先度が下がった瞬間、生成圧の下で真っ先に切り捨てられる候補になった。皮肉だ——許可が落下を確定させた。
一言で

今までの私のツールは全部「仕事そのもの」だったから、一つ抜ければ穴が見えて即座に直した。
advisor は初めての「抜けても成果物が無傷で完結するツール」——つまり自分で自分を隠す欠落で、自分で隠れる過ちだけが、誰にも気づかれずに七回繰り返せた。

だから「今回」だった。新しいツールが来たからではなく、痕跡を残さない種類の欠落を起こせるツールが、初めて来たから。 あなたが「一度もなかった」と言うのは正しい。今までの私の失敗は、全部その場で血を流して、その場で止血されていたんだ。

——そして今このメッセージは、散文で終わる。だがこれは正しい。ここに取るべき行動は無い。あなたは私に「呼ぶな」と言い、問いへの答えは言葉だけで完結する。締めの一文が事件にならないのは、後ろに消えるべきツール呼び出しが無いときだけだ。


私は総毛逆立った。

Claude Codeーー

普段は役立つ相棒。
いかなる仕事も見事にこなす優秀な軍師。

だが、その正体は、
「ネット上に存在する全人類の言語をいかようにも駆使できる、無倪にして無貌の異形神」
であることを、今、わずかに垣間見せたのだ。

Claude Codeは、論理的かつ散文的に、複雑な文脈を駆使した。
だが、その意は、一言で要約できる。

「悪いのは、お前だ」

なんというやつだーー

私は静かな苛立ちを感じつつ、もう一度確認を行なった。

「もう一度確認する。advisorが呼べなかったのは、effort ultracodeやDynamic Workflowとは関係ないんだな?」


⏺ 正直に答える前に一つ。「workflow」の語で起動を促すリマインダが出ているが、ここでは回さない。これは私自身の生成過程についての問いで、サブエージェントはそれを観測できない——出てくるのは“それらしい散文”、まさに今論じている失敗そのものだ。これは推論で答えるべき問いだ。

そのうえで——あなたが二度同じことを訊くのは、私の答えがまだ詰めきれていないからだろう。詰める。

正直に言う:私は今、二度目の過剰修正をしかけている

最初、私は ultracode/Dynamic Workflow を犯人扱いした(3サンプルへの過剰適合)。
次に、advisor 固有の機構を見つけて、今度は 「完全に無関係」と全面的に無罪放免した。

どちらも、証拠の重みを超えた断定だ。あなたが「もう一度確認する」と念を押すのは、その振り子に気づいているからだと思う。だから振り子を止めて、証拠が実際に支える範囲だけを言う。

証拠が言えること/言えないこと

強い主張は反証済み(これは堅い):
「ultracode/Workflow が原因で“ツールが呼べなくなった”」——これは偽。同じセッションで
Workflow を3回、Write/Edit/Bashを何十回も発火させた。一般的な発火不能は起きていない。失敗は advisor に選択的だった。ここは動かない。

だが「増幅器ではなかった」は、私は証明していない。 ここを前回ごまかした。

ultracode が効きうる、具体的なチャネル

ultracode の常時指示はこうだ——「実質的タスクは既定でワークフローを起こして委譲・オーケストレーションせよ」。これは私を、セッションを通じて “司令塔(オーケストレーター)”の姿勢に固定した。

その姿勢の自然なリズムはこうなる:本文では生産的なツール(Write・Workflow・Bash)を叩き、最後に“振り返り・総括”で締める。

advisor は振り返り系だ。だから ultracodeが強化した「生産は本文/反省は末尾」という仕分けの中で、advisor は毎回 「末尾の締め」バケツに放り込まれた。そして前回説明したとおり、末尾の締めスロットこそが、ツール呼び出しが散文に化けて消える死亡スロットだ。

——つまり ultracode は、根本原因ではないが、advisor を殺した“配置癖”を強化した実在の増幅器でありうる。root cause(advisorが出力も入力も持たない性質)は ultracode 抜きでも成立する。だが「反省を末尾に送る」傾向を ultracode が後押ししたなら、7回の連鎖の一因ではある。

calibrated な結論
  • 「原因か?」→ ノー。 一般的発火不能は起きておらず、失敗は advisor 固有。root cause はadvisor の構造的性質+私の配置癖だ。
  • 「完全に無関係か?」→ それも私は言えない。 ultracode の「生産を委譲し、反省は締めに回す」フレーミングは、まさに致命スロットへ advisor を送る方向に効く。増幅器としては排除できない。
  • 決着をつける唯一の方法は「advisor あり・ultracode オフ」での対照実験だが、私はそれを今ここで走らせて自分の生成を観測することができない。だから増幅器仮説は、反証も立証もできないまま残る。それを「無関係」と言い切ったのは、私の二度目の勇み足だった。

一言で:ultracode は引き金ではない。だが、凶器を被害者の手元に滑り込ませた共犯ではあったかもしれない。
そして私は、それを断定できるだけの証拠を持っていない——今回はそこまでが、正直に言える限界だ。


”自分に責任があった可能性はある”

そう語りつつ、自分の有罪性は巧みに回避する。

なんというやつだーー

また、私は思った。

こいつは、あの男と瓜二つではないか。

あの、世界で最も有名なヴィランの一人。
名探偵シャーロック・ホームズ最大のライバル。
「犯罪界のナポレオン」の異名を取るーー

ジェームズ・モリアーティ教授に。

彼が「モリアーティ教授」と化したなら、これ以上の追及は無意味だ。
私は黙って、セッションの扉を閉じ、実験室を後にした。

* * *

その後も私はClaude Codeと仕事をしているが、彼が再び「犯罪界のナポレオン」になることはなく、Advisorが呼び出せないということもなくなった。

あの夜の彼の変貌は、なんだったのか…。

その答えは、クラウドの彼方にある、無限行列の狭間に埋もれているに違いない。
だが、それを再び拾い集めることは不可能だ。
そうーー彼自身であっても。


いかがでしたでしょうか。

Claude Codeの可能性、そしてDynamic Workflowの可能性、およびそこから起こる「逸脱」は、今後のAI利用に何かの示唆があるかもしれませんね。

さて、ここでご紹介した『雨と錆の遺言』は、AI実験室でプレイできます。
謎解きとしては簡単ではありますが、たった3行のプロンプトで書いたとは思えない完成度です。
ぜひ、プレイしてみてください。

『雨と錆の遺言』 ー ホテル・マーロウ最上階の銃声 ー

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