今回からヤングケアラー問題を論じる連載(全5回予定)をスタートします。
子どもの「見えないピンチ」であるヤングケアラー問題。
身近でありながら解決が難しいこの問題を、どのように紐解くべきでしょうか。
これからの連載で、皆様と一緒に考えてみたいと思います。

板橋区の実態は全国平均以上

板橋区が令和5年度に実施した実態調査で、区内の小学生の9.9%が「家族の中にお世話をしている人がいる」と回答しました。
これは全国平均6.5%を上回る数字です。
中学生は5.6%、高校生は5.3%が同様に回答しています。
高校生の数字は全国平均4.1%をも上回っています。
「ヤングケアラー」という言葉は知られていても、その実態は住民の目に触れにくいものです。
今回の調査は、その「見えない負担」を数字として可視化した点に大きな意味があります。

背景・経緯——板橋区独自の実態調査とは

板橋区は令和5年5月8日から6月2日にかけて、区立小・中学校の4〜6年生及び中学生、区内在住の高校生世代、さらに教職員やスクールソーシャルワーカーなどの関係機関を対象に、独自の実態調査を実施しました。
小・中学生調査は配布約21,500通に対し有効回答7,731通(回答率35.9%)、高校生調査は配布11,693通に対し有効回答1,536通(回答率13.1%)にのぼりました。
板橋区「ヤングケアラーに関する実態調査報告書」(令和5年9月)
ヤングケアラーの割合——板橋区 vs 全国平均
世話の対象は、小学生・中学生・高校生のいずれの校種でも「きょうだい」が最多でした。
小学生57.8%、中学生60.7%、高校生62.2%が「きょうだいの世話をしている」と答えています。
世話をすることによる生活への影響も見過ごせません。
中学生では「自分の時間が取れない」19.1%、「勉強する時間がない」14.5%と回答しています。
高校生では「勉強する時間がない」19.5%、「自分の時間が取れない」18.3%という結果でした。
さらに深刻なのは、悩みを抱えていても相談できていない実態です。
高校生のうち、お世話についての悩みを「相談したことがある」と答えたのはわずか25.6%にとどまりました。
相談していない理由としては「だれかに相談するほどの悩みではない」44.8%、「悩みはない」43.1%が上位を占めています。
こうした回答の背景には、ヤングケアラー自身が「これは特別なことではない」と思い込んでしまう構造があると考えられます。
日常の一部になっているからこそ、本人が「相談すべきこと」だと気づきにくいのです。
なお、2024年6月には改正子ども・若者育成支援推進法が施行され、ヤングケアラーが初めて法律上に定義されました。
国・自治体には、相談・助言・医療支援などを行う努力義務が課されています。

中妻じょうたの見解

板橋区が法改正に先立って独自に実態調査を行ってきたことは、率直に評価したいと思います。
ただし、数字を「知る」ことと、支援を「届ける」ことの間には、まだ大きな距離があります。
小学生の約10人に1人が家族の世話をしているという現実は、決して「一部の特別な家庭の話」ではありません。
私は、この調査結果を区の政策にどう反映させていくか、今後も議会で追いかけていきます。

住民の皆さんへ

もし身近に、家族の世話をしている子どもや若者に心当たりがあれば、まずは「気にかけている」ということを伝えてあげてください。
板橋区には「子どもなんでも相談」(0120-925-610・通話料無料・24時間365日受付)という窓口があります。
本人だけでなく、周囲の大人からの相談も受け付けています。
もちろん、私でよければ相談に乗らせていただきます。

お問い合わせ

この連載では、次回以降、なぜヤングケアラーが「発見されにくい」のか、板橋区の支援体制がどう機能しているのかを、引き続き取り上げていきます。

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