新連載「いのちを支える板橋へ」を開始します。

記事「板橋区の障がい者は5年で10%増——精神障がい者の急増が示すもの」でお示しした通り、増加する障がい者の中でも、特に精神障がいが顕著に増加しています。
そして、自殺とうつ状態を含む精神障がいの相関性が、研究成果としても示されています。

「板橋区いのちを支える地域づくり計画2025」では「令和8年度に年間自殺死亡率13.0以下(年間自殺者数70人以下)」という目標を掲げてきました。
この目標が達成されるかどうかを評価されるとともに、5月に新たに策定された「いのちを支える地域づくり計画2030」では新たに「年間自殺死亡率12.0以下(年間自殺者数65人以下)」という目標が掲げられました。

「誰一人見捨てない板橋区」をめざして、本連載を通じて板橋区の自殺対策・精神障がい対策を検証していきます。
前半2回は本日から2日間連続掲載。
後半3回は、9/10の世界自殺予防デーに接続する形で、9/8, 9/9, 9/10に公開する予定です。
ぜひ、お読みください。


令和7年、全国の自殺者数は19,188人でした。
統計を取り始めた1978年以来、初めて2万人を下回りました。
しかし同じ年、小中高生の自殺者数は538人。
統計のある1980年以降で、過去最多を更新しています。
「減っている」という朗報と、「増えている」という深刻な事実が、同時に起きている。
この連載では、この矛盾をひとつずつ読み解きながら、板橋区の自殺対策を検証していきます。

全国の自殺者数、過去最少水準に

警察庁・厚生労働省が発表した「令和7年中における自殺の状況」によれば、2025年(令和7年)の自殺者数は19,188人でした。
前年から1,132人の減少です。
出典:警察庁・厚生労働省「令和7年中における自殺の状況」
自殺者数は2003年の34,427人をピークに、長期的な減少傾向が続いてきました。

今回、統計開始(1978年)以来初めて2万人を下回ったことは、大きな意味を持ちます。
男性は前年から625人減少しました。
女性は507人減少しています。
ほとんどの年齢階級で減少が見られました。
しかし、ある年齢層だけが例外でした。

小中高生の自殺は、過去最多を更新している

19歳以下、つまり小中高生の自殺者数は538人でした。
前年(529人)から9人増加し、統計のある1980年以降で最多となっています。
内訳を見ると、高校生が356人、中学生が172人、小学生が10人です。
性別では、女子が280人、男子が258人でした。
小中高生に限っては、女子のほうが男子よりも多いという、成人とは異なる傾向が見られます。

全体の自殺者数は減っているのに、なぜ子どもだけが増え続けるのか。
この問いは、次回以降じっくり掘り下げていきます。

板橋区の直近実績——令和5年、92人

板橋区の自殺者数についても、公式データを確認しておきます。
板橋区における令和5(2023)年の自殺者数は92人で、前年より13人の減少でした。
このうち男性は53人(前年比17人減)、女性は39人(前年比4人増)です。
出典:板橋区「板橋区における自殺の現状」

自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は17.0で、前年より2.4ポイント下がりました。
令和2年以降、コロナ禍の影響もあって上昇する年もありましたが、長い期間で見ると減少傾向にあります。
23区で比較すると、板橋区の自殺死亡率は17.4(警察統計ベース)です。
23区のうち、高い方から数えて13番目に位置し、ほぼ中位にあたります。

一方で、見過ごせない数字もあります。
板橋区における20歳未満の自殺者数は、令和5年が5人。
前年より2人増えています。
全国の子ども・若者の自殺増加傾向と、板橋区も無縁ではないということです。

なぜ、全体は減っても若年層は増えるのか

今回見てきた事実を整理します。

全国の自殺者数は、統計開始以来初めて2万人を下回りました。
これは間違いなく前向きな変化です。
しかし、小中高生の自殺は過去最多を更新し続けています。
板橋区の20歳未満の自殺者数も、直近で増加しています。

この「明るい話」と「深刻な話」が同時に起きている現実を、まず正確に知ることが出発点だと考えます。
なぜこうした矛盾が生まれるのか。

その手がかりの一つが、「精神障がいとの相関」という視点です。
自殺に至った人の多くに、うつ病などの精神的な不調があったことが、確立された研究でわかっています。
次回は、この「心理学的剖検」と呼ばれる研究手法が明らかにした事実を見ていきます。

住民の皆さんへ

もし今、辛い気持ちを抱えている方がいらっしゃれば、一人で抱え込まないでください。
板橋区は「板橋こころと生活の相談窓口」など、複数の相談窓口を用意しています。
夜間・休日にはSNSでの相談も可能です。
もちろん、もし私でよろしければご相談に乗ります。

お問い合わせ

この連載を通じて、板橋区の自殺対策の現状と課題を、一緒に見ていきたいと思います。

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