10/26登壇の決算総括質問解説、第2回は「保育園の急速な経営悪化について」です。

「このままでは、年間2000万円の減収になる」

10/12、同僚のおばた健太郎議員のお子さんが卒園した加賀保育園に、おばた議員、そして立憲民主党板橋政策委員のくまだ智子さんとともに訪問し、お話を伺いました。

園長先生からお話を伺いましたところ、大変厳しい実情をお聞かせいただきました。

「今年の4月に、初めて定員が未充足となった。0歳児の定員が10人のところ、3人しか入らなかった。
このままだと、年間の収入が2000万円ほど減少してしまう。
原因は、少子化の他にコロナ禍がある。
入園の見込みがあったのに入園しなかった保護者に話を聞いてみたところ、集団生活ではコロナが怖いので育休を延長して育児をすることにしたとのこと。
その後、なんとか10月までに0歳児は6人まで増えたが、未充足状態は変わっていない」

保育園の経費は、大半が人件費。
保育士を雇用するのが最も大きな支出になります。
そして定員を定めたら、その定員に対応できるだけの保育士を確保しなくてはなりません。
入園する児童が定員に満たなかったからといって、保育士をクビにしたりできるわけもありません。

このため保育園は、もし定員が未充足になると、急速に経営が悪化するという業種としての特色を有しています。

去る7/21には、板橋区小規模保育所協会の勉強会に出席しました。

0,1,2歳児のみの小規模保育園では、さらに状況が厳しくなります。

配布された資料では、大山西町小規模保育園と板橋一丁目インフィニティ保育園の園児数と運営費の推移が紹介されていましたが、いずれも、令和4年に入ってから急速に経営状況が悪化していることが示されていました。

保育園の運営支援と、閉園時のソフトランディング対策を

総括質問では、こうした厳しい状態にある保育園の運営支援、およびやむなく閉園に至った場合のソフトランディング、すなわち園児の転園や職員の転職などを円滑に行えるような支援をしていくべきだと質しました。

区としては、0歳児の定員に対する欠員数に応じた運営費助成を行っていること、また閉園に至る場合には事業者に必要な支援を行うとともに在園時や保護者に不安を与えないよう配慮していくとの答弁でした。

 まず、低年齢児につきましては、在籍児童1名当たりの運営費収入の単価が高いということであります。そういたしますと、定員が少なく、低年齢児を対象といたしました小規模保育園におきましては、その欠員が経営に与える影響が極めてひときわ大きくなるということは認識してございます。

 一方で、年度途中に受入れの多いゼロ歳児の入所枠を区としても確保しておく必要があるため、令和4年度から区の独自施策といたしまして、定員に応じた職員の確保に要する運営費の一部を助成しております。

 その支援内容といたしましては、4月から9月までの各月のゼロ歳児の欠員数に、他区の同様事業などを参考に設定をいたしました欠員1人当たり単価14万140円を掛けた額を助成しているところでございます。

 また、閉園を考えた場合、閉園をする場合のソフトランディングという点でございますけれども、事業者が閉園を希望するというお話があった場合につきましては、区といたしましても状況を丁寧に聞き取った上で、まずは在園児への対応や保護者への周知、閉園までの定員設定などについて必要な助言をさせていただいております。

 また、国や東京都の補助金を受けて施設整備をした場合につきましては、開所から閉園までの年数によりまして補助金の一部を返還する必要が生じることから、事業者が閉園の時期を適切に判断できるよう、区のほうで返還額の試算を行っているような状況でございます。一つの判断材料としていただくということでございます。閉園に際しましては、事業者に必要な支援を行っていくとともに、在園児や保護者に不安を与えないよう、区としても配慮して行ってまいります。

一時保育を拡充し、利便性向上と保育園収益確保の両立を

少子化とコロナ禍で経営難に苦しむ保育園を少しでも支え、かつ区民への利便性を高める方策として「一時保育」の強化を訴えました。

親の急な病気や急な用事。
またフリーランスの方などであれば、普段は自分で子どもの面倒を見ているけれども、忙しいタイミングでは預けたい…といったこともあるでしょう。

一時保育の利便性を高めればもっと保育園を利用する方は増えると思いますが、現状では、まず事前面談を行った上で、区のHPで園の連絡先を確認し、個別に空きを確認するしかありません。

ここは、保育にもDX。
「一時保育アプリ」を開発して、一時保育の空きを一目で確認し、すぐに予約できるようにしたらいいのではないでしょうか?

私は以下のような画面イメージを考案し、総括質問でプロジェクターにて提案しました。

まず、特に小規模保育園だと、近くにあっても気づかないこともあります。
やはり地図上で位置を確認できたほうがいいでしょう。
そして、地図上で空き人数がわかるように表示します。
0人のところはもちろん空きがなく、予約できません。
そして、兄弟がいるご家庭ももちろんあります。
2人兄弟なら、空きが2以上ないと予約できないわけです。
こうしたことが一目でわかるインタフェースを作ることが重要です。

保育園のほうではあらかじめどんな子どもかを確認する必要があるため、事前面談はどうしても必要になりますので、思いついたらすぐワンクリックで予約…とはいきませんが、こういう画面イメージがあれば、使いやすいサービスの構想がしやすいのではないでしょうか。

区の答弁は、「児童を安全に預かるための保護者との連絡手段を担保しつつ、保護者と保育園双方の利便性を高める手段として研究をしてまいりたい」とのことでした。

 現在、一時保育につきましては、区内では区立、私立合わせて12の保育園で実施をしているところでございます。委員からお話もありましたように、例えば予定でお預かりをお願いする、あるいは急な用件でお預かりする、様々なケースがあると思いますけれども、一時保育を希望する保護者のほうから実際に施設のほうに連絡をしていただいて、その状況を確認をしていただくというようなことになってございます。

 また、私立保育園によりましては、利用料金であったりとか、用意するものであったりとか、様々違いがありますので、その辺施設側と保護者とのコミュニケーションを取っていただいた上で利用していただくというようなことになっています。

 ちなみに区立保育園におきましては、児童の健康状態や配慮すべき点を確認をするため、これは初回の利用時に限ってなんですけれども、保護者との直接の面談というのをお願いしているところでございます。

 今、一時保育のDXというお話がございましたけれども、ウェブあるいはアプリ、そういったものを活用した利用予約につきましては、児童を安全に預かるための保護者との連絡手段を担保しつつ、保護者と保育園双方の利便性を高める手段として研究をしてまいりたいというふうに思ってございます。

その他、都のベビーシッター一時預かり支援事業を板橋区も実施すべきこと、また保育園のスペースの有効活用について質問しました。

保育についてのご相談がありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください!

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